好きのその一言【大手裏剣】 ページ11
「Aくん、クリスマス遊ばない？」
まただ。俺はよく会社の先輩や後輩の女性から色々なお誘いがくる。でも、俺は断る。
『すみません、予定があって。』
俺、鎌田Aには、好きな奴がいる。
「そ、そっか…。じ、じゃあね。」
『はい。』
その相手は叶うはずもない。
男だ。
「お前なんで行かないの？予定ないだろ？」
後ろから首を伸ばして、俺に不思議そうに聞く男。
間宮英司。俺が好きな男。
別に可愛いとか、背が低いとかでもない。
『何となく。』
英司は完全なノンケ。好きな女もいる。
「ははっ、モテる奴はいいよな。だーがー聞け！A！！」
嫌な予感しかしない。
『なんだよ。』
「俺、春ちゃんにクリスマスデートの許可もらった！！」
ほらな、やっぱり。
俺の恋、呆気なく散ったな。
『ふーん。よかったな。』
「Aは一人酒だな〜ははは！」
『…。』
ヤケ酒決定。
「あ、A。今日、服買いにいくから一緒に選んでくれない？お前、センスいーだろ？」
『…嗚呼、いいよ。』
敵に塩を送るってこういうことなのか。
まぁ、でもそれでコイツが幸せなら俺はいいか。
.
.
.
「A！！これとこれどれがいい？」
『んー。』
俺はiphoneに目を向けていた目を英司に向ける。
片手に紺色のコート、もう片手には黄土色のコート
女子かよ。
クスッと笑って、冗談混じりにどちらも指さず、真ん中。英司を指差した。
『ん。』
すると、どうだろうか。
初めは間抜け面をしていたが、はっとしてじわりと頬を赤くした。
『…。』
…ワンチャン、逆転説あるかも。いや、なわけないな。
「な、なに言ってんだよお前。ほら、どっちだよ。」
照れてる。嗚呼、好きだな。
『黄土色。』
「お、おう。あとA選んでくれよ。」
『わかった。』
無音カメラで撮ったコイツの赤面を見てクスリと笑い、画面を落とした。
「結構高かったなぁ…。」
『折角のデートなら別にいいだろ。』
「それもそうだな。ありがとうな、A。今度なんかお礼する。
なんか欲しいものある？そんな高いものは無理だけど…。」
英司が欲しい。そんなロマンチックなことを言ってみたいもの、だ。
そうしたら、また困らせるだろうな。
『二人で飲む。』
「お、いいな。それ。」
『だろ。』
にひひ、と笑う英司。俺も薄く笑って返した。
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作者名：男主クリスマス合作企画 x他2人 | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2018年11月11日 17時
