第八話 ページ9
極道*
ふっ、と唇が離れる。
だが、俺の唇は強く熱を持ち、先ほどまでこの女によって奪われてしまったことを主張する。
腸が煮えくり返りそうな程怒っているのに、身体の奥底はじくじくと疼いて、終いには下半身が熱を帯び始めたことに嫌気が差した。
「葵が柊のことをそこまで思っていないのなら、尚更結婚すべきだわ。
葵を私の婿養子にして、住吉の籍に入るの。
そうしたら、一生安心して生活できるし。
それにおばさまも、柊の存在が残ってればいいと思っているんでしょう？
ね、葵」
椿が袂から何かを取りだす。
紺色の小さな箱。
ぱかりとそれを開いた椿は、中から銀色に光る指輪を取り出した。
「葵、私と結婚して」
椿が絡めた指を離す。
そうして左手を取ると、薬指に指輪を――
「……やめろ！」
「きゃっ！」
制御のきかない力で、思い切り椿を突き飛ばす。
転がる指輪と、がちゃんと大きな茶会道具の散らかる音。
そうしてゆっくりと立ち上がり、自身の袂から黒光りする拳銃を取り出して。
息の荒い中、それを女に突きつけた。
「つっ、椿お嬢様！」
「……っはぁ、動くな！」
騒動を察知したであろう、椿のボディーガードが椿に駆け寄ろうとするのを制止した。
「今、椿の方にお前が行けば……っ、……一瞬にして葬り去る。
……意味、分かるな？」
ボディーガードを一睨みすれば、竦んだように一歩後ずさる。
それを確認した俺は、また怯えた表情をする椿に視線を向けた。
「……っ、椿。
これ以上、俺に関わらないでくれ。
柊の頭としての会談はどうしようもないが、お前の顔をもう見たくないんだ」
「そ、そんなの」
「だいたい……っ、お前を伴侶にするつもりは、毛頭ない」
そう、全くその気はない。
今俺の中に渦巻くのは、怒りと悔しさと。
それから、Aに対する罪悪感だけだ。
「本当は今直ぐにでも、お前に存在を消してやりたいくらいだ」
すると、椿は目の端から涙を細く溢して。
「わ、分かった……っ。
もう、会談以外は葵に会わない……っ」
「…………分かったならいい」
拳銃を袂に直す。
まだ身体は熱い。
でも、全身血塗れになった時よりはまだましな方だ。
重たい身体を動かして、茶室を後にした。
泣きじゃくる椿と、慌てて駆けよったボディーガードをそのままに。
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空弥(プロフ) - 木の実☆（このみ☆）さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます！三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (
レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ﾊｧﾄ)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます！ウルウルしてくださったんですか!？ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます！私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます！こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空弥 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時：2018年9月24日 15時
