第二十九章 ページ32
樹*
「……精々首を洗って待ってろ」
ぞくり。
さっきまで怒っていたのが一気に沈静化するか如く。
ぶつん、と携帯の切れた音ではっと我に返り、心臓の音が急に五月蠅くなりだす。
やっとの思いで息を吐き出した。
「……と、父さん」
こちらに顔を向けぬまま、黒いズボンと白のワイシャツに腕を通し始めた彼の名を呼んだ。
男は振り向かない。
ただ淡々と荷物を纏め、時折、小さく舌打ちした。
怖い。
あの父親が、ここまで豹変するのが怖い。
でもそれは、きっと――
「樹」
俺が呼んだときは応えもしなかったのに、父さんは俺の名を言って。
「……留守を頼むな」
さっきと同じ人間とは考えられぬほど、柔和な笑みを作った。
俺の頭に手を伸ばし、わしわしと雑に撫でる。
それはパパやママの撫で方とも、母さんの撫で方とも違ったけれど、どこか力強くて勇気をもらえるような。
それでいて、俺の大好きな人と似ているのだ。
胸が苦しくなって、極道なんか嫌いなのに、嫌いになったはずなのに、この人は何度頑張っても嫌いにはなれそうになくて。
「……母さん連れて帰ってこれなかったら、父さんの首はねるからね」
「嗚呼、好きにしろ」
憎まれ口も何もかも、不器用な俺の苦し紛れの愛情表現だって。
勝手にそう解釈してくれよ、糞親父。
「……死なないでよ」
そう呟くように言うと、父さんは「はは」と軽快に笑って。
「お前ら家族が【ここ】に居てくれる間は死なねぇよ」
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空弥(プロフ) - 木の実☆（このみ☆）さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます！三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (
レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ﾊｧﾄ)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます！ウルウルしてくださったんですか!？ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます！私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます！こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空弥 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時：2018年9月24日 15時
