第十六章 ページ17
「そ、そんなので、簡単に好きになっちゃっていいの」
『案外、単純にできてるんだよ、人間って』
ぽん、と彼の頭に手を伸ばし、その短い髪を梳いてみる。
『樹くんだって、誰かから「好き」って言われたら嬉しいでしょ?』
「……うん」
『その嬉しい、って気持ちが一杯になったら、嫌いな人も嫌いになれなくなるもんなんだ。
葵さんのことは、本当に嫌いだった。
でも、沢山「好き」って言ってもらって、行動でも示してくれて。
ずっと守ってくれそうだな、この人、ってね。
極道としてじゃ無くて、葵さんは「一人の人間として」愛してる。
だから、今の生活にもう不満はどこにもないよ。
樹くんだって、……ここにいてくれるんだし』
瞳を合わせて。
目元を緩めれば、樹くんはそっぽを向いて。
「……母さん」と。
『……え?』
思わず自分の耳を疑った。
樹くんはといえば、口をもごもごと落ち着きなく動かして、顔を俺から背けたまま。
「まっ、ママだったら、本当のママと、混ざっちゃうから……!」
む、と頬っぺたを膨らませる樹くんは、何故か葵さんとほんの少し似ている気がして。
『……うん、ありがとう。
「樹」』
そう言って彼を両手で包み込むと、樹はさして嫌な顔をするわけでも無く。
俺の服の袖を掴んで、息を大きく吸いこんだ。
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時