七話 ページ7
ますますアイツのことがわからなくなってきた。
何が狙いなんだ?まさかとは思うが、俺に媚びを売っているわけではあるまいな?
…いや、同じ囚人を売るようなやつに限ってそれはないだろう。
先輩ならば長年彼のいる階を担当していたため、なにかわかるかと思っていた。
だがそんなベテランの彼ですらあの言葉の意味がわからないのだ。
それは頼みの綱が、あっさりと切れたようなものである。
そんなのどれだけ考えたって俺が分かるわけないし、永遠に答えはでない。
やはり本人に聞くのが一番手っ取り早いだろうか。
いやでも、あんな言葉にどうせ深い意味なんてないだろうし、俺が気にしてると思われたらまた何を言われるか…。
そもそも、何故俺はこんなにもあいつの言葉を気にしてしまうのだ。放っておけばいい話だろうに。
「よし!!」
気合を入れるように頬を叩く。
どうしたんだこいつ、とでも言いたげな目で周りに見られてしまったが、とにかく今は気を紛らわしたかった。
さて、今日もこれから見回りがある。
昨日は初めてで緊張していただけだ。今日は気合を入れて、看守らしく厳しくいこう。
不意打ちをされると弱い性格が出てしまう。だから今からは、平常心を保って己を作るのだ。
意識がそれるとまたあの表情と声が脳をチラついた。ああなぜだかムカついてきた。
本日二回目。思い切り自分の頬を叩いた。バチンッと大きく音がなり、尚且つ赤くなってしまったが気合を入れるにはこれが一番いい。
そろそろ行こう。
看守帽を被り制服を着直したあと、俺はその場を後にした。
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ネージュ@ちくわ同盟(プロフ) - 凄い好きです(語彙力) (2018年10月29日 18時) (レス) id: 4cedcbaa5d (このIDを非表示/違反報告)
睡 - よき。すごくよき。 (2018年10月29日 13時) (レス) id: 700c135c09 (このIDを非表示/違反報告)
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