第三十二話 ページ37
『葵さっ』
あの時よりも、強く抱き締められて息が止まりそうになる。
胸板はやっぱり固くて、男らしい雰囲気に緊張した。
心臓の鼓動は五月蠅くて、落ち着かない。
『ちょっと、葵さん！
急に何して』
「静かに」
『ひあっ』
耳元で低い声。
電流が走ったかのように、身体がびりびりと痺れる。
葵さんは俺の様子にくすりと笑って、俺の顎を掴んで顔を寄せた。
何度も、何度もキスの雨を浴びせられる。
ついばむ様なキスに、触れるだけのキス。
どくんどくん、鼓動は大きくなる一方で。
「口、 開けて」
『……っ、うぅ』
こういう時だけ、甘い声を使うのもズルい。
恐る恐る口を開くと、「いい子だ」と。
直ぐさまにゅるり、と舌が差し込まれて、背が敏感に跳ねる。
歯列を一度なぞり、それからゆっくりと舌を食む。
くちゅり、と官能的な音が聞こえてきて、それに身震いした。
葵さんの手は俺の腰に伸びていき、するりと撫でられる。
そんなに優しくされたら、全身がとろけてしまう。
脳の奥まで、浸食されてしまう。
『んっ、あぅっ。
葵、さん……っ』
身体が自分で支えきれなくなった頃、葵さんは触れるだけのキスを最後に、唇を離した。
そして俺の身体を崩れないように抱き。
目の前の女性に問う。
「……これでいいだろ、大奥。
ちゃんと、連れ戻した」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 419人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱあだよ - ア"ぁ"ずぎいいいいい！！！！！！ (2020年8月12日 22時) (
レス) id: c34795aa39 (このIDを非表示/違反報告)
空弥@ロザリオ(プロフ) - BLACKMOONさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます！いえいえ、妄想を詰め込んだだけですよ〜w (2018年12月8日 10時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
BLACKMOON - 物凄く面白かったです。私も最近文をあげ始めたのですが、まだまだだな〜と思いました！ (2018年12月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - soraくんさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます！BL好きじゃない方に面白いと言ってもらえたのはめちゃくちゃ嬉しいです…… (2018年10月9日 0時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
soraくん(プロフ) - すごく素敵です。私はBLが好きではないんですけどこれは面白いです！！漫画化して欲しい…… (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0ca2962a8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
