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第二十九話 ページ34

ホテルで時間をつぶして、外が暗くなりかけた頃に街へ出た。

オレンジ色の街灯が眩しいと思った。

がらり、キャリーバッグを引く手は重くて、無理矢理に自分を急き立てる。



俺が本当に好きなのはあのオーナーだ。

口が悪くて強欲で。

挑発的で意地っ張りで。

でも本当は、優しくて強くて。

凛としたあのカッコいい人じゃ無い。

違うよ、俺。


空港行のバスに乗る。

やっぱり周りの人の目は俺を「外国人」として見ていて、それに居心地の悪さを感じた。

少なくとも、彼や彼のボディーガードは、そんな目で俺を見なかった。

優しい瞳で俺を見つめて、強く、抱き締めてくれて。

あの人の体温が、心地よくて。


「A」


『……っ』


最初に会ったときは、どちらかというと彼が嫌いだった。

オーナーを侮辱して、冷たい視線を向けて、失礼な奴だと。

ポーカーを俺に依頼した時も、おかしな奴だと思った。

勝負に、強い人だった。

初心者の癖に俺なんか直ぐに降して、俺をこの国に攫った。

そのうち、心までも奪っていってしまった。

ズルい人だ、あの人は。


『……うぅ、葵さん……っ』


不覚にも、涙がこぼれる。

ぎゅ、と服を握りしめて、目を閉じた。

隣のいない席は、何故かとても虚しかった。

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ぱあだよ - ア"ぁ"ずぎいいいいい!!!!!! (2020年8月12日 22時) (レス) id: c34795aa39 (このIDを非表示/違反報告)
空弥@ロザリオ(プロフ) - BLACKMOONさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!いえいえ、妄想を詰め込んだだけですよ〜w (2018年12月8日 10時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
BLACKMOON - 物凄く面白かったです。私も最近文をあげ始めたのですが、まだまだだな〜と思いました! (2018年12月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - soraくんさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!BL好きじゃない方に面白いと言ってもらえたのはめちゃくちゃ嬉しいです…… (2018年10月9日 0時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
soraくん(プロフ) - すごく素敵です。私はBLが好きではないんですけどこれは面白いです!!漫画化して欲しい…… (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0ca2962a8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年9月11日 23時

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