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第二十七話 ページ32

一郎*


酒を飲み終えて夜風にあたろうとしたら、近くの部屋から聞き覚えのある男の声がした。


「失礼する」


その言葉が聞こえると、続いて乱暴に障子が閉まる音がした。

それから声の主であろう足音が近づいてきて。

角から、彼が現れた。


「……失礼します」


彼は下唇を噛みしめると、こう言って僕の隣を足早に通り過ぎた。

固く握られた携帯、額に浮かぶ青筋。

綺麗に整えられた服装。


「碧くん」


呼び留めると、彼はぴたりと背を向けたまま足を向けた。


「琴音と何か揉めたのかい?

僕に一声掛けてくれたら、僕から話を通したのに」


彼は黙って話を聞いている。


「僕は今、立場上君の上司であり、それより前に父親だ。

もしものことがあったら、僕を頼ってくれて構わないから」

「……貴方を頼る?」


僕より一オクターブ低い声が、聞こえた。


「悪いけど一郎さん」


彼が振り返る。

僕の瞳を捉える。


「貴方が頼りないから、「母さん」がああなったんじゃないの?

財力と権力に目のくらんだ屑みたいな人間に。

……後任でも柊の頭だろ、あんた」


言葉が出なかった。

碧くんの言うことは的確で。

胸の奥に、ぐさりと刺さる。


「俺の上司である前に父親?

だったら、既に成人した血のつながってない俺より、大奥の方を優先しろよ。

俺も父親離れできない子供じゃない。

そもそも。



……俺はあんたを父さんだと思ったことはないから」


「じゃあ」と、碧くんは袴の裾をはためかせ、踵を返した。

最後に僕に向けられた視線は氷のように冷たくて、それを思い出して身震いした。

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ぱあだよ - ア"ぁ"ずぎいいいいい!!!!!! (2020年8月12日 22時) (レス) id: c34795aa39 (このIDを非表示/違反報告)
空弥@ロザリオ(プロフ) - BLACKMOONさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!いえいえ、妄想を詰め込んだだけですよ〜w (2018年12月8日 10時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
BLACKMOON - 物凄く面白かったです。私も最近文をあげ始めたのですが、まだまだだな〜と思いました! (2018年12月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - soraくんさん» 返信遅くなりました、ありがとうございます!BL好きじゃない方に面白いと言ってもらえたのはめちゃくちゃ嬉しいです…… (2018年10月9日 0時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
soraくん(プロフ) - すごく素敵です。私はBLが好きではないんですけどこれは面白いです!!漫画化して欲しい…… (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0ca2962a8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年9月11日 23時

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