キスシーンの描き方【名前変換オリジナル】

8　「こういうこと」 ページ10

Gペンで花弁を描く。

ヒロインに相手の男の子が告白するシーンだ。

大小沢山の花を描いて、コマに彩りを与えていく。

一ページをそのシーンで終わらせた後、それをアシスタントである、ゆりちゃんに手渡した。


『これ、消しゴムで下書き消してからトーン配色。

あー、あれ、あのトーンがいい』

「これですか？」

『そうそう、それ！』


これは他のアシスタントさんとの会話では成り立たない。

トーン番号を直ぐに忘れてしまう私には、彼女の存在が必要不可欠だ。


「あ、先生。

気になったんですけど」

『んー』


次のページの下書きをなぞろうとすると、消しゴムを持ったゆりちゃんが私がさっき渡した原稿をまじまじ見やって。


「今日、お花いつもより綺麗じゃありません？

いや、思い違いだったら申し訳ないんですけど。

この大きな花、綻ぶ感じが美しいなって」


ひらり、彼女が指さした花。

それが、今日の朝見たガーベラと重なる。


『……あっ』

「いいことでもあったんですか、先生？」

『ん、んーん、何でもない』


やばい、どうしよう。


彼とはキスするだけの関係だと自分に言い聞かせようとするたびに、彼の事が気になってしまう。

どきどきと心臓がはねて落ち着かなくなる。

ふと視線を下に落とすと昨日描いたキスシーンのラフ画。

あの時は何とも思わずに書けたのに、今は緊張でペン先が震える。

扇情的に視線を交えて、その瞳を伏せて……。


『……ごめん、トーンはってないやつ頂戴』

「先生、ペン入れ……」

『今トーンはりたい気分』

「ええ……？」


そんなの、気になって作業なんてできやしない。

ーー

脳髄が痺れるまで【男主】


ここでフラグは立てたくないのでベーコンレタスということにしておきます

そういう系です

苦手な方は見ないことをお勧めします(そういう方は評価も控えていただけると助かります)

フラグが消えてくれなくて作り直したので、評価はし直してくれると嬉しいです。

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