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第四話 ページ5

「待たせたな、先生!」

「いや、待ってない」


振り返ることもせず、俺はきっぱりと言いきった。

勢いよく開いた保健室のドア。

あの日から東野は、性懲りもなく保健室にやって来る。

「今日もか」と、怪訝に眉を顰めると、とたとたと上履きの音が近づいた。


「俺の告白を受けたからって、恥ずかしがらなくていいのに」

「そういうのじゃない」


つん、とそっぽを向けば、「やっぱり釣れないなぁ」なんて。

一丁前に溜息なんか吐いて、大人ぶった態度。


「あのさぁ」


くるり、回転いすを回して東野を見た。


「俺の何処に惚れたの」

「ん?」

「だから、何処に惹かれたのかって」


我ながら面倒くさい彼女のような質問をしたな、と思いながら彼に視線を寄越すと、けろりとした表情で。


「愚問だな、先生」

「は?」

「全部だ」


それは淀みなく。


「最初に先生を見たのは、始業式の日だ。

見かけた瞬間、綺麗な先生がいる、と思った」

「……俺、男ですけど」

「分かってる。

だからその時は、この胸の高鳴りが何を意味するか分からなかった。

誤作動さえ疑った。

でもやっぱり日にちが過ぎても気持ちはおさまらなかった」


東野は俺に向かって笑いかけ。


「ごめんな、先生。

だから迎えに行くのが遅くなった」


その顔は、ズルい。

俺が一生懸命「教師」でいようとしてるのに、こいつはそれを崩そうとしてくる。

これ以上踏み込まれるのが怖い。

こいつに、ちょっとでも惹かれてしまう自分も、俺は怖いんだ。

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ゆりか(プロフ) - 続きがみたいです!!更新待ってます!!応援しています^ ^ (2020年8月12日 20時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
内緒の小話(プロフ) - めっちゃ面白い!!!くーちゃん僕が誰だかわかるかな??? (2019年2月18日 20時) (レス) id: 3047c105ea (このIDを非表示/違反報告)
チョコどうめい - 占ツクやめないで! (2019年2月9日 9時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 面白いです。頑張ってください。 (2018年9月30日 16時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!私も設定考え付いた時萌え禿げましたww更新頑張ります! (2018年9月30日 4時) (レス) id: b499e5a85b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月28日 19時

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