第二話 ページ3
時は放課後。
カリカリ、とシャーペンを走らせる。
後もう少しで日誌が書き終わる。
これさえ済ませてしまえば、後は定時まで昼寝ができる。
保険医の特権を濫用しベッドで昼寝をするのがマイブームの俺は、それを楽しみに今日のコメントを記入していた。
「……できた、っと。
っしゃ、終わった……」
シャーペンをデスクの上に投げ出して、思い切り伸びをする。
いそいそと寝る準備をしようとしたときだった。
「新城先生」
無情にもがらりと開いた保健室の扉。
「俺、足怪我したんですけど、……先生?」
「……いや、いいから座れ」
思いっきり嫌な顔をしたかもしれない。
事実、本当に嫌だ。
でも、「今からベッドで寝ようとしてました」なんて保険医が言えるわけがない。
無理に笑顔を作って見せたから、きっとおかしな顔にでもなっているだろう。
でもこれも仕事だ、久々に本名で呼んでくれたコイツの為にも職務は全うしなければ。
「……何処?」
「嗚呼、左ひざです。
バレーでちょっと」
「擦り傷じゃん、これくらい唾つけとけば治るだろ」
男子生徒の傷は、それは本当にちょっとしたかすり傷だった。
普通の人であれば放置するくらいの。
「これくらいだったら保健室使うな。
マネからカットバンでも貰って貼っとけ」
しっし、と追い払うように手を動かすと。
「……嗚呼、やっぱり可愛いな、先生は」
「……は?」
くす、と耳元で笑う音が聞こえて驚きに目を見開く。
「やっぱり先生は保健室の女神だ」
「っ、てめ……!」
「静かに」
男子生徒は俺に顔を寄せて。
その乾いた唇を、俺の唇に押し当てた。
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ゆりか(プロフ) - 続きがみたいです!!更新待ってます!!応援しています^ ^ (2020年8月12日 20時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
内緒の小話(プロフ) - めっちゃ面白い!!!くーちゃん僕が誰だかわかるかな??? (2019年2月18日 20時) (レス) id: 3047c105ea (このIDを非表示/違反報告)
チョコどうめい - 占ツクやめないで! (2019年2月9日 9時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 面白いです。頑張ってください。 (2018年9月30日 16時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!私も設定考え付いた時萌え禿げましたww更新頑張ります! (2018年9月30日 4時) (レス) id: b499e5a85b (このIDを非表示/違反報告)
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