検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:168,080 hit

第二話 ページ3

時は放課後。

カリカリ、とシャーペンを走らせる。

後もう少しで日誌が書き終わる。

これさえ済ませてしまえば、後は定時まで昼寝ができる。

保険医の特権を濫用しベッドで昼寝をするのがマイブームの俺は、それを楽しみに今日のコメントを記入していた。


「……できた、っと。

っしゃ、終わった……」


シャーペンをデスクの上に投げ出して、思い切り伸びをする。

いそいそと寝る準備をしようとしたときだった。


「新城先生」


無情にもがらりと開いた保健室の扉。


「俺、足怪我したんですけど、……先生?」

「……いや、いいから座れ」


思いっきり嫌な顔をしたかもしれない。

事実、本当に嫌だ。

でも、「今からベッドで寝ようとしてました」なんて保険医が言えるわけがない。

無理に笑顔を作って見せたから、きっとおかしな顔にでもなっているだろう。

でもこれも仕事だ、久々に本名で呼んでくれたコイツの為にも職務は全うしなければ。


「……何処?」

「嗚呼、左ひざです。

バレーでちょっと」

「擦り傷じゃん、これくらい唾つけとけば治るだろ」


男子生徒の傷は、それは本当にちょっとしたかすり傷だった。

普通の人であれば放置するくらいの。


「これくらいだったら保健室使うな。

マネからカットバンでも貰って貼っとけ」


しっし、と追い払うように手を動かすと。


「……嗚呼、やっぱり可愛いな、先生は」

「……は?」


くす、と耳元で笑う音が聞こえて驚きに目を見開く。


「やっぱり先生は保健室の女神だ」

「っ、てめ……!」

「静かに」


男子生徒は俺に顔を寄せて。

その乾いた唇を、俺の唇に押し当てた。

第三話→←第一話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (207 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
338人がお気に入り
設定タグ:BL , 名前変換オリジナル , 男主 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆりか(プロフ) - 続きがみたいです!!更新待ってます!!応援しています^ ^ (2020年8月12日 20時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
内緒の小話(プロフ) - めっちゃ面白い!!!くーちゃん僕が誰だかわかるかな??? (2019年2月18日 20時) (レス) id: 3047c105ea (このIDを非表示/違反報告)
チョコどうめい - 占ツクやめないで! (2019年2月9日 9時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 面白いです。頑張ってください。 (2018年9月30日 16時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!私も設定考え付いた時萌え禿げましたww更新頑張ります! (2018年9月30日 4時) (レス) id: b499e5a85b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月28日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。