検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:227,284 hit

第四話 ページ4

「……寝ちゃうの?」


男を風呂に入れた後、俺たちはそのまま寝室に。

ベッドに彼を誘導した後、部屋を暗くし俺は床に雑魚寝する。


「シャワー浴びてこい、って言ったから、そういうことすると思ってた」

「するか、寝るぞ」


きっぱり言うと、彼は白い毛布を一度握りしめてから、そろりとベッドから足を下した。

ベッド近くの電灯だけがオレンジ色をしていて、彼の顔を照らす。


「おい」

「おにーさん。

俺、お兄さんが思ってるほど綺麗な人間じゃないよ」


そして彼は上体を起こした俺の方へ歩み寄り、傍に座った。

ぴらり、と俺の腹に掛けていた毛布代わりの布をつまんで、剥がした。


「だから何して……っ」

「……何だ、お兄さんもやっぱりαなんだね」

「はぁ……!?」


男の顔を見た。

ごくりと息を飲んだ。

本能とか理性とかそんなの取っ払って単純に。


その御馳走を前にしたように唇を舐める仕草が、妙に色っぽく奇妙に思ったのだ。

この表情は、俺の知るΩの表情ではない。

何故その顔ができる。

その時の俺の感情は絶句に近かった。


「だってお兄さん、勃ってる」


その声で我に返った。

今のは何だ、そう考えていたら反応が遅れた。

男の手が下半身に下りてきて、どこか手慣れた仕草で布越しに俺の「それ」を撫でまわした。

距離の近い危険な状況に期待してしまう自分がいる。


「よかった。

お兄さん、そういう反応見せてくれないから」

「……っ、好きでこういうことをΩにさせたくないからな」

「ふーん、紳士にでも見られたいの?」

「違うっ!」


俺は荒く息を吐きながら、できるだけやんわりと男の手をつかんで、たかるそこから離させた。


「……お前、名前は」

「何急に、……裕翔だけど」

「じゃあ裕翔。

これは俺の持論だが」


ぐい、と汗ばんだ前髪をかき上げる。


「ΩにはΩなりの生き方があると思っている。

……俺はその邪魔をしたくないだけだ」

「何だ、やっぱり善人面したいだけじゃん。

他のαなら、俺が一度でもいいって言ったら何でもしていいと思ってるのに」

「お前がそう思うのは仕方ない……」


未だ熱の収まらない俺をそのままに、裕翔はベッドに腰かけ直した。

そして足をプラプラ動かすと、俺を見やった。


「おにーさんって、変な人」

「何とでも言え」

「でも俺。

おにーさんのこと嫌いじゃないよ」

「え」


その本心を確かめようとしたが、彼は顔をすぐに背けてしまっていてよく分からなかった。

第五話→←第三話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (212 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
設定タグ:BL , Ωバース , 男主 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

空弥(プロフ) - 桜坂さん» わああああ、よきですよきですっ。電車でイチャイチャしてるところめっちゃ書きたいです……。ありがとうございます、更新ゆっくりですが、お付き合いいただけると嬉しいです (2018年11月10日 21時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
桜坂(プロフ) - 以前コメントさせて頂いたものです!デートの案なのですが遠出して海を見に行くなどもいいのではないでしょうか?電車の小話とかも出来ますし、それとこれからもゆっくり頑張ってください (2018年11月7日 19時) (レス) id: 96c3d36cf4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼紫(プロフ) - 希羽(  ̄▽ ̄)さん» 18↑のほうに書いてます。オブラートに包んでないので(汗)18になってからまた読みに来てください! (2018年9月9日 14時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - 第17話の間の話って、18↑ですか? (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - もう最高ですぅぅぅ、、、。  私まだ18↑読めないんですよね、、、、。残念過ぎます、あと何年だろう。 (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月24日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。