車で轢いた女は片思いの人だった - 【三途春千夜】 (ページ31)

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最後に私は大好きな彼の笑顔を思い出す。初めて会ったときの顔、優しいときの微笑む顔…。

全部私は思い出す。涙がポロリッと大きな粒が零れ落ちる。

喉が苦しくなる、手を強く握る。彼の顔が消えかかる。思い出せなくなる。視界が真っ暗に染まる。

足を前に出せば、下は何もない。死の扉になる。

私は落ち着くように深呼吸をする。涙を綺麗に拭く。これが最後の言葉。

『三途さん愛してます』

飛び降りようとすると、私の腕を強く引っ張る。

邪魔者が入ったと引っ張た人の顔を見ると、三途さんだった。

私はビックリして目を大きく開けると、三途さんは私の腕を強く握る。

「何、馬鹿のこと考えてんだよ！」

『三途さん死んでなかったんだ…』

「俺は死ぬわけねぇ！」

泣くのを堪えたが、限界で涙を流してしまった。

『よかったぁ…』

嬉し泣きをした後、すぐ三途さんに抱き着いた。

『ごめんなさい…ごめんなさい…』

「謝るな。Aの事全然考えなくてごめんな…」

頭を優しく撫でてくる彼の手の温もりはとても安心感が出る。

「俺から離れるなよ」

『うん…ありがとう』

抱き離れると、私は彼の頬を触り、彼の唇にキスを落とした。