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「アンドラゴラス王は生きておられるそうです」
それを聞いた殿下は、ナルサス殿の方を向いた。
「父上が！？」
「それ以外は残念ながら聞き出せませんでした」
「父上が……生きておられた……」
殿下の表情は、嬉しいのか、嬉しくないのか……。今の私には分からなかった。
ただ、私はカーラーン殿の
自分の手で、カーラーン殿の開いたままの目を、そっと閉ざした。
そして、王宮にいた頃、良くしてもらっていたのを思い出し……、少し、涙を流した。
敵になるって、分かっていたのに。嫌いだったはずなのに。
なんで、あの時親しくしていたんだろう。
こうなる事、わかっていたはずなのに……。
「A？」
後ろから、殿下に名前を呼ばれる。
バレないように涙を拭ってから、笑顔を作って振り向いた。
「なんでございましょうか、殿下」
「いや、大丈夫か？」
「……え？……あ、はい。大丈夫です」
すぐ後ろにファランギース殿のお姿が見えた。
なるほど、
「A殿」
「……ギーヴ殿……なんですか？」
馬を走らせていると、いつの間にかお隣にギーヴ殿がいた。
「さきほど、泣いておられたようですが……。大丈夫ですか？」
あら優しい。
「まだ傷が癒えぬのなら、今宵は私とふたりき……」
「大丈夫です。それに、あなたとふたりきりになったら、殿下をお守りすることができないので」
そう言うと、ギーヴ殿は目を点にしてあ、そうですか。と言った。
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作者名：真希 | 作成日時：2017年8月30日 18時
