アルスラーン殿下に、一生の忠誠を誓います。【アルスラーン戦記】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:16,781 hit

11 ページ11

目の前に広がるのは、血と炎の海。

そして、私が殺した兵士。

あぁ、なんでこんなことになってしまったんだろう……。

私、何かした？

私、人殺したの今日が初めてだよ？

私、今まで1度もこんな事しなかったよ？

私、ちゃんとまともに生きてたよ？

私の平凡な日々は？

───あぁ、そっか。殿下に忠誠を誓ってしまったからだ。

誓わなかったら、きっと、今だって平凡な日々に───

「っ！」

今、私何考えてた！？

殿下に忠誠を誓った事、後悔した？

「っ……。もう、最悪……」

なんで後悔するの？そもそも、私が戦に出たいって、言ったから出てるんじゃないの？

なのに、忠誠のせいにして！

「最っ低っ！」

1人で後悔していると、後ろから兵士の声が聞こえた。

何人だ？1人？2人？……いや、5人だ。

「おー？なんだ、女じゃねーか」

やめてよ。

「本当だなぁ。どうする？」

もうやめて。

「殺っちまうか？」

これ以上、私を、

「殺っちまおうぜ！」

人殺しにさせないで。

下品な笑い声は、うなり声に変わり、一瞬にして夜空に消え去った。

空を見上げると、三日月が私を見ていた。

なんだか、嘲笑われているようで。

まるで、軽蔑されているようで。

そして、私が殺人鬼だと、指を指して嗤(わら)っているようで。

とても、気分が悪かった。