リアリストの葛藤【２】

57 仕事予定 ページ7

＜海青SIDE>


リハの休憩時間、メンバーは各々好きなことをしている。

相変わらずゲームをする者もいれば、SNSを見てる者もいる。今日の俺は後者。

画面の先には高橋さんのインスタアカウント。この間仕事の話の流れで教えてもらったものだ。

絵を描く仕事とは聞いていたけど…



海青「うっま…」



サムネで表示されるのはどれも綺麗なイラスト。

なんか海の絵が多い？海好きなのかな…

あとちょいちょい出てくる食べ物のイラスト凄い。でも減量中の今見るのはキツい、それくらい凄い。

誰か横に来たのを感じて顔を上げる。陣さんか。



陣「何してん？セルフ拷問？」


海青「え、どういう事すか」


陣「減量中に飯テロ画像は最早セルフ拷問やろ」



それ、と指さすのはスマホの画面。

いやこれは事故なんです、本当は色々イラスト見ようとしただけなんですよ。

本来見ようとしていた画像を陣さんに見せると、何かに気づいたようでスマホが攫われた。

アカウント表示欄をしげしげと見つめ「やっぱり」と呟く。



陣「この人…」


海青「見た事あるんですか？」


陣「多分今度一緒に仕事するで？まだ提案段階やけど」


海青「え」



仕事と聞いてメンバーがちらほら集まりだした。

それぞれ画面を覗き「海綺麗〜」と一様の反応を見せる。

龍と昂秀は飯テロに目がいったらしく「美味そう！！」と叫んでた。わかる。



昂秀「え、飯系の仕事っすか！」


陣「飲み物を飯とカウントするなら飯やな」


昂秀「はい、解散！」


陣「興味失いすぎやろ」



昂秀の言葉に従ってかメンバーがはけた後、陣さんに話を促す。

どうやら俺達のダンスに彼女のイラストが加わる形での合同企画らしい。

といってもまだ本当に企画段階で、向こうが受けるはまだ未定。



陣「一応この人の居る会社に依頼してますよって感じやな。
　 まぁまだ先のやからリーダーしか聞いてへんねん」


海青「…この人この間の電話の人です。あの雨の日の」


陣「！まじか」



先程までさらっと流すように見ていたが、興味がわいてしまった様で自分のスマホで同じアカウントを表示させている。

陣さんと並んで投稿を閲覧するも、これはあくまで仕事のPR用としてらしくプライベートの様子は全く伺えない。

唯一あるのは美術館？に行った写真くらい。

何か知れるかなと淡い期待で見たが、そもそも彼女の性格を考えたらプライベートなアカウントを教える訳もないか。



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