リアリストの葛藤【２】 (ページ11)

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翔平「あ！これ僕ですか！！」

山彰「え、うま…すげぇ…」

「あぇ、」

不意に手元に影が出来て、顔を上げると数名のメンバーに囲まれていた。

びっくりしたぁ…急に大きい声で話しかけないでほしい。

一番近くで覗き込むのは、やかましい男(武知さん談)浦川さん。

指差した先にはアクロバットを行う彼のスケッチ。複数人のスケッチがあったが、衣服で分かったらしい。

翔平「これ写真撮ってもいいですか！」

「大丈夫ですけど、一応発表会前なのであまり人には見せないでいただいて…」

翔平「そりゃもちろん！」

山彰「えーいいなー」

クロッキー帳を差し出すと何枚か写真を撮ってにっこり「ありがとうございます！」と言われた。

やかましい男なんてとんでもない。

確かに声は大きめだけどめちゃめちゃ好青年なお兄さんじゃないか…

陣「せや、今日居ないメンバーの事なんですけど、壱馬はボーカルなんでそこまで激しい動きはせんと思います。んで、海青なんですけど多分クランプやる予定で…」

「あ、はい」

クランプ…？？

工具のクランプしか知らない…でも絶対違う。ダンスの種類だよなぁ。

よく分からないまま立ち尽くしていると助け舟が来た。

陸「クランプっていうのはダンスのジャンルのひとつね、こう…足を踏み込む様な動きのある激しめのダンスなんだけど」

陣「あ！そうか！急にクランプなんて言われても分かりませんよね！」

「いえ、こちらこそ勉強不足ですみません」

陣「見た方が早いよな…まこっちゃーーん！！」

まこっちゃんと呼ばれて来たのは長谷川慎さん。

今回チーム分けが武知さんと一緒らしく、クランプを踊るらしい。

キャップを取り挨拶をする姿は何かもう、凄いキラキラしてる。

何だろう、男前しか居ないのかこのグループは。普通に仕事に集中したいのに凄い緊張する。

長谷川さんが来るのと入れ替わりで陣さんと陸さんはそれぞれのグループへ戻っていく。

慎「よろしくお願いします」

「こちらこそお願い致します」

慎「えっと、じゃあ、やりますね」

ダンッという踏み込む音を合図に躍動する身体。

荒々しく、でも決して雑さは無く、力強い動きに目が釘付けになった。先程見たアクロバティックなタイプのダンスとは違った魅力がある。

パフォーマーだけで3パターンも作っては人が違うだけで似通ってしまうのでは？という懸念は早々に消え去った。

これはいくらでも幅がある。

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