17、リュック ページ17
すると、真昼はそのまま話を続けた。
「でも、雪は昨日いたことになってたんだよ。おかしくないか……？」
『私はいたことに？』
ますます分からない。
どうやら昨日は交通事故という事になっているらしく、本当に2人して吸血鬼の事は何も覚えていないそうだと真昼は言った。
あんなにも恐怖が襲ったのに、2人とも覚えていない。
それはどう考えても、"誰か"の仕業であると思った。
…でも、何故真昼がいた記憶は消して私がいた記憶は消されなかったのだろうか。
そんな疑問が頭を駆け巡り、結局何も分からず私は項垂れた。
「まぁとにかく…深く考えても余計に分からなくなるし、取り合えず帰るか」
『…うん』
真昼も私も訳が分からず。
結局悩んでも2人して土坪にはまっていくだけだと予想した私達は、家へ帰ることにした。
…仕方ないから、家に帰ったら落ち着いてクロから話を聞こう。
そう決心して、私はハッとした。
『そう言えば真昼、クロは？』
夕暮れ時の帰り道。
ビルが立ち並ぶ中、私は隣を歩く真昼にそう小さく質問してみた。
そう言えば朝一緒に家を出た時から見ていない。
そう思ったのだ。
「あぁ、クロならここにいるよ」
そして、質問を投げ掛ければ真昼はすぐに背負っていたリュックを下ろすとそのチャックを開けた。
すると
『「…………」』
なんと、そこには猫のクロは勿論。
.
……昨日のあの吸血鬼人形もいたのだった。
.
「おい雪に真昼、こいつどうにかしてくれよ…」
狭い狭いリュックの中。
そこでクロが凄く凄く迷惑そうな顔をしながら吸血鬼人形を見てそう言った。
よく見ていると、吸血鬼人形はからから笑いながら私を指差したのだ。
「あはははは、こんなナイスタイミングで椿の探してた人間の側にいれるなんてね！椿知ったら喜ぶだろうなぁ」
『また椿椿って。一体誰なのよ』
「あはははは、何言ってるの雪！椿が誰かくらい君なら分かるよねェあはははは」
…私をずっと指さしながら言うこの吸血鬼人形の言葉に私は眉間にシワを寄せた。
椿なんて誰か分からないし、会ったこともない。
それなのに、この吸血鬼人形は一体何を言っているの。
そう思って、私は尚も吸血鬼人形に話を聞き出そうとした。
しかしその瞬間。
.
.
ゆっくりと向こう側から、下駄の音が聞こえたのだった…。
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怜衣(プロフ) - 連投失礼いたします。17話まででべルキアが椿のことを「椿」と言っていることが気になりました。以降は直されているみたいなので、ご報告だけしておきました！ (2017年4月26日 18時) (
レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
怜衣(プロフ) - 初めまして！読ませてもらっているのですが、少し気になることがありまして...。べルキアの椿の呼び方は、つばきゅんではないでしょうか？ (2017年4月26日 18時) (レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ユイさん» ユイさんへ♪お返事遅れてすいません！いつも見てくださりありがとうございます！頑張ります！ (2016年9月6日 21時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - いつも見てます。これからも頑張ってください!! (2016年9月4日 14時) (レス) id: 20080c7ffa (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 主夫LOVEさん» 主夫LOVEさんへ♪ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！ (2016年9月4日 0時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 | 作成日時：2016年8月18日 22時
