転生したら刀だった件（剣） (ページ5)

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第三話ページ5

その後は色々と大変だった。正宗は昔から格の高い刀剣として贈物にされることが多かったらしいから色々な主の元を転々としていた。

だけど刀剣乱舞に出てきたようなキャラは一切見当たらなかった。

そうこうしているうちに、持ち主が変わり、今度は尾張の末森城に向かうことになった。
今は１５３４年だからその頃の尾張に誕生した人といえば織田吉法師(織田信長)。

どうやら自分は信長さんの誕生祝いに送られたようだった。尾張についた途端に鍛冶師に〈天文三年五月十二日織田吉法師刀〉、〈織田尾張守家〉と彫られてしまいました。宗左さんとオソロの魔王の刻印だぜ、特に嬉しくはないな。痛かったし。

そしてついに私も人体デビューした。
でも服が完全にFGOの織田吉法師。これはセウトなのでは？髪もポニテだったけどおろしたら長いウルフに一束だけの三編みだった。

ちなみに魔王の刻印は腰辺りに浮き出てきた。宗左さんが「第六天魔王」の五文字と揚羽蝶と髑髏だったら私は「第六天魔王」の五文字と木瓜と髑髏のようなデザインになっている。

でもまあ、刀となった今では時がすぎるのはとても早いもんで、すぐに尾張の大うつけと呼ばれるまでに大きくなった。
町や山に行くときは必ず私を腰に差して連れて行ってくれた。

町では子どもたちと遊んだり大人たちから情報をもらったりしていた。山では地形をよく見て色々なことを考えていた。うつけと罵られる信長さんだったけどそれは織田家の嫡男としてちゃんと考えているようだった。

鉄砲もこの頃から少しずつ集めているようだったし、先生の話もよく聞いていた。私にはとてもうつけとは思えなかった。でもそこらへんに生えているものを拾い食いはしないでほしい。腹壊しそうで怖い。

お父さんが死んだときも葬式に来てくるような服ではなくいつも通りの服で来ては遺影に抹香和鷲掴みにして投げたりと散々だった。

お父さんの葬式は盛大すぎるもので親族大集合だったのでその姿を色んな人に見られた。「大馬鹿者だ」とか「あやつに跡継ぎというのはありえない」とかそりゃそうだろうなと思った言われてたけど、出ていったあとに男泣きしてたし大好きだったんだろうなとは思う。

そのあとは信長さんを小さい頃から世話していたひとも後を追うように自害していった。義父のために支援に行ったときも間に合わずにそのまま退却した。跡継ぎ争いにも勝った。