2話 ページ2
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「...平成の東京にこんな所が....。」
健「ん?何か言った?」
そう呟くと、中島さんが、どっかのアイドルのようなそんな笑顔で俺の顔を覗き込んで笑った。
明るい笑顔だな。
「平成の東京にもこんな場所があるんですね」
健「...平成?平成って何?」
「え?平成は、今の元号.....」
健「今の元号は昭和だよ?大丈夫?笑」
「.....は?」
そうやって、中島さんは首を傾げて笑った。
今の元号が、昭和?
いや、何かの間違いだ。スーツのポケットに入れたスマホを取り出して日にちを確認する。
電源を入れてみたが、それは圏外になっていた。
「ッ、くそ!」
健「え、何々、落ち着いてよ、それよりそれ何?」
「スマホ.....」
健「スマホ?何それ、初めて聞いた。」
スマホをマジマジと眺める中島さんの目は嘘をついてるように見えなくて。
という事は、ここは昭和?
ああ、ダメだ、頭がぐちゃぐちゃになる。ただでさえ疲れてると言うのに。
そうだ、これは夢だ夢なんだ。
そう思って、頬を抓ってみるけど、何ともない。ただ頬が痛いだけだ。
「今、って西暦何年ですか?」
健「1978年だよ?大丈夫??」
「1978年....昭和53年?」
風「何馬鹿な事言ってんだよ、それ以外にあるか?」
「.... ッ俺は信じない!」
風「はあ?」
「ここが昭和だなんて!俺は信じない!!
.....なあ、あんたら何初対面の奴を騙してんだよ!今日はエイプリルフールじゃないんだぞ?!」
健「....佐藤君、何言ってんの?」
「ここは、平成30年のはずなんだ!!俺は、平成生まれの、人間なんだ......」
力が抜けて、膝から崩れ落ちる。
俺が責めても不思議そうに俺の顔を見つめる2人。
嘘だ、嘘だと言ってくれ、ここは実は平成だよ、ってそれだけでいいから。それだけでいいから、お願い.......
恐怖に襲われる、って多分この感覚なんだと思う。
今まで味わった事なんてなかったこの恐怖感に、吐き気がする。
目がぐるぐる回って、頭が真っ白になる。
....... 気が付くと、俺の意識はなかった。
ユラユラ揺れる感覚、爽やかな洗濯物の匂い。
何だこの匂いは。どこかで嗅いだことがあるような.......
懐かしい、匂い。
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作者名:かぷちーノ . | 作成日時:2019年4月2日 22時