1話 ページ1
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「これ、何.....?」
ある日、ビー玉を拾った。
くたびれたスーツと傷だらけの靴。余りにも大学生とは思えないこの姿に嫌悪感が増す。
就活中の俺は、何も上手くいかずもう日々生きることに疲れていた。
帰り道に拾ったそのビー玉は綺麗な水色で、今日のようなカラッと晴れた空の色をしていた。
中では金色に光った何か。時計の針のような...。
いや、そんな事は無いか。
「わ、綺麗.....。」
そのビー玉を手で持ち上げて空に掲げると、
綺麗な空の色とリンクして、太陽の光が反射する。
思わず目をつぶった。そーっと目を開けてみると、どんどんその光が強くなっていく。
やばい、何だこれ。
その光に俺はもう一度目を閉じた。
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「.......ん、」
もう一度目を開けるとそこはさっきとは違う場所にいた。
さっきまで高層のマンションやビルが見えていたのに、今は1つも無い。
この先もずっと続いていたコンクリートの壁も、木でできた柵に変わっている。
ここはどこだ。
それが今の問題点であるが、ここは本当に何処なんだ。
「あ、あの、鉄塔.......。」
幼い頃から俺の街にある、古い鉄塔。
だけど、この前見ていたよりもどこか新しい。
今よく見てみたが、この街はどこか俺の住んでいる街に似ていた。
こんな所が、平成にあるのか。どこか昭和のような雰囲気のある街だな。
....... まあ、昭和に行ったことなんて無いけど。
「.......いったぁ」
落ち着いたら、腕がジンジンと痛み始めてきた。
よく見てみると擦りむいている。
うわ、結構痛いな。さっき尻もちをついていたし、その時に擦りむいたのかもしれない。
知らない間にこんな場所に来るくらい、俺は疲れていたのだろうか。
?「.......お前誰?」
?「ここら辺では見ない顔だねえ。」
「....... えと、貴方達は....」
?「俺の事知らねえの?変な奴だな。
俺は菊池風磨。」
?「俺は中島健人。で?君は?」
「あ、俺は、佐藤勝利ですけど」
風「ふぅん、変な名前。」
「.......ッな、」
健「こら、失礼だろ。....あれ、佐藤君、腕擦りむいてるね。」
「あ、」
風「しょーがねえな。手当してやる。来い。」
「え、ちょ!」
健「大丈夫大丈夫、気にすんなって!」
俺は、出会ったばかりの中島さんに背中を押されながら、言われるがまま彼らの後ろを着いて行った。
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作者名:かぷちーノ . | 作成日時:2019年4月2日 22時