第九十一話《 まふまふside 》 ページ47
「驚いた。Aがあんな積極的なことするなんてな」
わざとらしく話を逸らそうとするそらるさん。
しかし、僕が険しい顔をさらに曇らせると、はぁ、と一息ついて、問いに答えた。
「見てたよ。お前が何に迷っているのかもわかってる。あの時お前が何故彼女に躊躇したのかもな…」
「そらるさんは。貴方は…僕にどうして欲しいんですか。僕はAのことが好きです。でも、彼女のことが好きな貴方も大事なんです…」
僕が彼女に告白して、もし彼女が僕を承諾したら？
そらるさん、貴方の彼女に対する想いを、僕は踏みにじることになるんですよ？
そうそらるさんに告げると、彼は待ってくれ、と言わんばかりに立ち上がった。
そして、急に頓狂なことを言い出した。
「はぁ、お前、ほんとに面倒くさいな。大丈夫だよ。もうそんな事考えなくていい」
「え………」
「好きだと伝えた。彼女に」
「そ、それで…？！」
「ふられた」
いきなり解き放たれたその言葉に、僕は頭が追いつかず、ついさっき考えていたことが全て吹き飛んだ。
え、え、えぇっ？！
そらるさんが！！Aに告白した！！？？
「お前びっくりしすぎ」
「だ、だっ、だって、！！」
「俺は、お前と同じ…いや、お前よりも臆病なんだよ。それでいて…最低だ」
「そ、そんな…こと」
そらるさんは、そう言って俯いた。
それ以上、言葉を発することはなかった。
彼が告白したのは、僕があの時迷っていたのを見透かしていたから。
僕が彼女のことをどれだけ大切に想っているか、知っているから。今まで彼はいつもそうだった。
僕という矛を貫かせるために。彼は自分が盾になればいいと思っている。
でもそれじゃあ、いつかは壊れてしまう。彼は無敵の盾でもなければ、不死身の救世主でもない、僕と同じ、人間なのだから。
僕は、その空気に耐えられなくなって、彼をそっと抱き締めた。
昔、彼がそうしてくれたように。
「そらるさんは最低なんかじゃありません。落ち込むなんて貴方らしくないですよ」
「俺は…お前の言うような良い人間じゃない…」
「そんなことないですよ…って言っても説得力ないと思いますけど…少なくとも僕や、A、天月くんやluzくんたちはそらるさんには助かってると思いますよ」
「…」
泣いているのか、怒っているのか。彼は僕からそっと離れて僕の目を見た。
そんな彼の目は、僕を疑うような、確かめるような、そんな感情を素に乗せていた。
第九十二話《 まふまふside 》→←第九十話《 そらるside 》
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あ - 「つゆ知らず」ではなく「つい知らず」では？ (2019年11月23日 19時) (
レス) id: a5d39e3f52 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます！！続き……どうなるんでしょうね！！(考えてない)後付けが得意なのでどうなるやらって感じですが、楽しみにして下さっている方がいるから頑張れるってやつです！私のモチベにも繋がるので、これからも応援よろしくお願いします！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 続きが楽しみすぎる…！ (2018年9月24日 19時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - やさん» コメントありがとうございます！！いや、そんなこと言ってくださるとは…ありがとうございます！完結…今のところしそうにないですがいつかしなきゃならないんですよね…(-＿-)頑張ります、応援よろしくお願いします！！ (2018年6月30日 22時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - はじめまして。夢主さんの自分らしくて可愛いところも、歌い手さん方の優しいところも全部全部ドツボの作品です、、！完結まで待ってます（＾_＾） (2018年6月30日 21時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶丸。 | 作成日時：2017年12月26日 10時
