第六十一話 ページ16
男の子を運んでから数分後。
彼はうっすらと目を開いた。
そして、側でうとうとしていた私を見て驚いたのか、バッと勢いよく起きあがった。
しかし、顔色は少し良くなったものの、まだ熱っぽさが残っているようで、彼はまた寝転がった。
そして、小さく私に問いかけた。
「お前、誰」
「お前って…まぁいいや、取り敢えず、名前教えてくれる？」
「知らない人に名前教えるなって母さんが言ってた」
「あのねぇ…」
起きたのはいいけど、結構面倒くさいな、この子。
男の子は、私を怪訝そうに見て、もう一度喋り出した。
「…誘拐？」
「違います！！君さっき倒れたの！だから運んであげたの！私が！」
「まじかよ…」
そう呟くと、よっこいしょ、と身体を起こし、ふらふらと立ち上がろうとする彼。
手にはさっき配られたグッズの注文紙が握られている。
「君、グッズ買いにきたの？」
「そうだけど…なに」
「その様子じゃ、まともに歩けないでしょ。お姉さんが一緒に着いて行ってあげようか」
「はぁ？子供扱いすんな。それにお前お姉さんというかおばさんだろ」
イラッ…としかけたけど、相手は子供。精神統一しないと手と口が出てしまいそうになる。
さんざん私に暴言を吐いておいて、かなりふらついているものだから、私は着いていくことにした。
子供の言うことなんて聞くもんじゃない。
「私は小南A。君が名前言わないっていうなら、私着いていくけど？」
いかんいかん、つい怒り口調になってしまった。
さぁ、どう出る？
「…朱瀬 渉。はい、言ったから着いてくんな」
「はいはい、分かりました、お大事に」
男の子…渉くんはくるりと逆向いて列の後ろへ並んだ。
それを、素直じゃないなぁ、と母親のように見つめながら、その後を着いていく。
着いてくんなって言われたものの、私だってグッズを買わなければ莉犬に叱られるからしょうがない。
「…着いてくんなって言ったじゃん」
「私だって着いていこうとしてませんー。グッズ買いに来たんだからしょうがないでしょー」
「おばさんの癖に子供かよ…」
「おばさんて！！名前言ったでしょ、小南A！」
「じゃあA」
呼び捨てかよ……もういいよ、疲れたよ…
＊
一旦切ります
更新遅れてすみません！！
前の更新スピードからかなり落ちる可能性が高いです…途中で打ち切ったり絶対にしたくないので、ゆっくりではありますが、どうぞお付き合い下さい…
by お茶丸。
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あ - 「つゆ知らず」ではなく「つい知らず」では？ (2019年11月23日 19時) (
レス) id: a5d39e3f52 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます！！続き……どうなるんでしょうね！！(考えてない)後付けが得意なのでどうなるやらって感じですが、楽しみにして下さっている方がいるから頑張れるってやつです！私のモチベにも繋がるので、これからも応援よろしくお願いします！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 続きが楽しみすぎる…！ (2018年9月24日 19時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - やさん» コメントありがとうございます！！いや、そんなこと言ってくださるとは…ありがとうございます！完結…今のところしそうにないですがいつかしなきゃならないんですよね…(-＿-)頑張ります、応援よろしくお願いします！！ (2018年6月30日 22時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - はじめまして。夢主さんの自分らしくて可愛いところも、歌い手さん方の優しいところも全部全部ドツボの作品です、、！完結まで待ってます（＾_＾） (2018年6月30日 21時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶丸。 | 作成日時：2017年12月26日 10時
