第六十話 ページ15
「はぁ?!グッズを買ってこい?!」
『お願いっ!こな しか頼める人がいなくてっ』
莉犬の本題というのは要するに、自分の旅行中、代わりに私にグッズを買ってきて欲しい、というもの。
因みに、物販開始時刻はとっくに過ぎている。
ということはつまり、今から行けばお客さんの波に流される。
「なんでそんな時に旅行入れちゃったの…」
『だって俺…ほら、結構無計画なとこあるじゃん…?』
「確かに昔からそうだけどそれを理由にするな」
『頼むよ〜!!くじ五回と、まふまふさんのマフラータオルだけだから!!お金は今度返すしさ!!』
そういう問題じゃないんだけど…
でも、行くなら今すぐに出ないと売り切れの可能性もある。
ここは仕方なく、了解しよう…
『ほんとに?!行ってくれるの?!ありがとっ!!大好き!』
「あーうるさいうるさい。で、もう一回何買うのか言って」
『くじ五回と、まふまふさんのマフラータオルと、まふてるスマホケースと…』
「いや明らかに増えてるよね」
そうして、莉犬からの電話は切れたのだった。
時間は10時になりかけている。誰も私が粉みるくだなんて分かるはずないけど、一応…一応、マスクとメガネだけしていこう。
場所は、東京駅から近いところにある市民ホール。
私たちがいつも創作活動をしていたスタジオのすぐ近くだ。
東京駅を出ると、既にライブの物販列と思われる列がズラリと並んでいた。
最後尾に並ぶと、注文の紙とペンが配られて、ざっと目を通してみてもすごい数のグッズだ。
出演者は、まふ、そらるさん、天月さん、luzくん、うらたさん、志麻さん、坂田さん、センラさん、96ちゃん の9人。
そりゃグッズも多いか、と納得しながら注文紙に莉犬から頼まれたものに丸を付けていく。
折角だから、私も何か買わないと失礼かな、と思って、注文紙をじっくり眺めていたその時だった。
急に、ドサッと音がして、隣に立っていた小学生くらいの男の子が倒れたのだ。
「…っ?!え、ちょ、大丈夫?!ボク、立てる?」
私だって隣で人が倒れて放っておけるほど冷たくない。
すぐに注文紙を鞄に突っ込んで、男の子を抱き上げると、男の子は、弱々しく首を横に振った。
顔が赤い。きっと熱があるのだ。身体が火照っている。
そう判断すると、私は男の子を抱きかかえて、近くにいたスタッフさんに伝え、介抱ゾーンへと案内してもらった。
そして、私は男の子が目が覚めるまで側にいることにしたのだった。
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あ - 「つゆ知らず」ではなく「つい知らず」では? (2019年11月23日 19時) (レス) id: a5d39e3f52 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます!!続き……どうなるんでしょうね!!(考えてない)後付けが得意なのでどうなるやらって感じですが、楽しみにして下さっている方がいるから頑張れるってやつです!私のモチベにも繋がるので、これからも応援よろしくお願いします! (2018年9月24日 21時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 続きが楽しみすぎる…! (2018年9月24日 19時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - やさん» コメントありがとうございます!!いや、そんなこと言ってくださるとは…ありがとうございます!完結…今のところしそうにないですがいつかしなきゃならないんですよね…(-_-)頑張ります、応援よろしくお願いします!! (2018年6月30日 22時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - はじめまして。夢主さんの自分らしくて可愛いところも、歌い手さん方の優しいところも全部全部ドツボの作品です、、!完結まで待ってます(^_^) (2018年6月30日 21時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶丸。 | 作成日時:2017年12月26日 10時