第五十六話《 まふまふside 》 ページ11
「はぁ…」
Aちゃんの家を出てから、僕はため息を何回もつきながら家に帰った。
彼女はこの気持ちを恋だと言った。
この変なぐちゃぐちゃした気持ちを、嫉妬だと言った。
「Aちゃんを…すき…」
口に出すと熱くなる顔。それが本当だったら…僕は…最低だ。
家の扉を開けようと、鍵をポケットから出した途端、誰かに話しかけられた。
眠そうな声。今一番会いたくないひと。
「まふまふ？おまえどうしたの、熱？」
「そ、らるさん…」
「うわ、顔真っ赤じゃん、おまえ風邪ひいてんなら寝て…」
「違います！！！」
そらるさんが突然大声を出した僕にビクッとしている。
僕はそれに構わずさらに続けた。
「分かってるんです…これが…この気持ちがダメな気持ちなんだって…いつもそばに居てくれた…大切なひとの…大切なひとなのに…」
そらるさんは、何かを悟ったように、あぁ…と零す。
僕の口はそれでは止まらず、今まで溜め込んでいたものがすべて溢れ出して行った。
「僕…もう応援出来ないですっ…そらるさんは大切なひとだけど…それよりも…」
「Aが好きなんでしょ」
「そっ…えっ…？！」
「俺は、分かっててまふまふに言ったんだけど？」
そう言って悪戯に笑うそらるさん。
僕はと言うと、そんなことを言われるとは思いもしなくて、目を真ん丸にしている。
そらるさんは…僕が彼女を好きだと知ってて僕にあえて言った？
それはつまり…あれはそらるさんなりの宣戦布告だったのかもしれない…
そう考えると、ふつふつと怒りがこみ上げてきて。
「もう！！そらるさんはやっぱり分からないです！折角僕が悪い事したと思ってたのに！」
「大声だすなよ…夜だし外だぞ。まぁ、お互い自覚したんだしさ、協力は出来ないし応援も出来ないけど今まで通り付き合っていこ」
「出来るわけないじゃないですか！確かに先に好きになったのはそらるさんですけど、想いは僕の方が上ですからね！Aちゃんは渡しませんよ！」
僕がキッと睨むと、そらるさんは、そんなことはさせない、と今度は柔らかく笑って言った。
なんだ、知ってたんだ、という安心と、そらるさんには負けたくない、という強い対抗心が湧き出てきて、結局二人してくすくすと笑ってしまった。
そらるさんがいい人でよかった。
僕はその夜、心底そう思ったのだった。
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あ - 「つゆ知らず」ではなく「つい知らず」では？ (2019年11月23日 19時) (
レス) id: a5d39e3f52 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます！！続き……どうなるんでしょうね！！(考えてない)後付けが得意なのでどうなるやらって感じですが、楽しみにして下さっている方がいるから頑張れるってやつです！私のモチベにも繋がるので、これからも応援よろしくお願いします！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 続きが楽しみすぎる…！ (2018年9月24日 19時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - やさん» コメントありがとうございます！！いや、そんなこと言ってくださるとは…ありがとうございます！完結…今のところしそうにないですがいつかしなきゃならないんですよね…(-＿-)頑張ります、応援よろしくお願いします！！ (2018年6月30日 22時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - はじめまして。夢主さんの自分らしくて可愛いところも、歌い手さん方の優しいところも全部全部ドツボの作品です、、！完結まで待ってます（＾_＾） (2018年6月30日 21時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶丸。 | 作成日時：2017年12月26日 10時
