社会的距離 (ページ43)

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JSside

JS「あれ?ヌナ…?」

僕が出勤する途中、音信不通でしばらく来なかったヌナの姿を見た。

ヌナ!!と声をかければ、一瞬だけ僕の方を振り返り足早に立ち去ろうとする。

そんなヌナの後ろ姿を咄嗟に追いかけて、手首をつかむ。

JS「Aヌナですよね??今までどこ行ってたんですか?みんな心配してますよ。早く帰ってきてください」

「チソンくん…ごめんね、私ドリムの担当辞めたの。だからドリムには私は帰れない」

JS「え…?」

辞めた。という言葉を聞いて、一瞬頭の中が真っ白になる。

ヌナの顔を見れば、辞めた。という言葉には不相応なくらい悲しそうな、どこか辛そうな顔をしていた。

JS「このこと、ジェミニヒョンは知ってるんですか」

そう僕が言えば、何も言わず首を横に振るヌナ。

きっと何か事情があって辞めることになったのだと。僕はその時察した。

でも、幸いヌナの肩にはメイクバッグのようなものがぶら下がっていて、まだスタイリストという仕事を辞めていないことに安堵する。

少し沈黙が続いて、なんと声をかけようか悩んでいれば、
先にヌナの口が開いた。

「このこと、誰にも言わないで欲しいの、今日ここで会ったことも、辞めたことも。お願い!!」

そう言って、頭を深々と下げる姿を見て、分かりました。と返事をしてしまった。

「ありがとう!!じゃあ、私はこれで。チソンくんも気をつけてね」

そう言葉を残して、走って行ってしまったヌナの後ろ姿を見つめながら、部屋に戻れば今日という日を普通に過ごす。

きっとへチャニヒョンやチョンロなら、この状況をメンバーに話せているんだろうな。と思いながら…。

CL「ヌナ…どこにいったんだろうな。あれからジェミニヒョンもずっと中身空っぽって感じだし。」

JS「だね…でも案外近くにいたりするのかな」

CL「意味深だな、、何か知ってるのチソンア」

JS「知らないよ…ただ近くにいたらいいなってだけ」

CL「ふーん。やっぱりチソンは面白くない」

JS「喧嘩売ってる??」

こうやって、時々みんなにヒントを話しつつも、答えまでは言わなかった。

もちろん、ジェミニヒョンの今の状態を心配していない訳では無い。

でも、それ以上にあの時のヌナの辛そうな顔が忘れられないだけ…。

いつか、どこかで、偶然二人が再会出来ますように。

そう願うことしか僕には出来なかった……。