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side 及川
「徹くん!一緒にお昼なんてどうかな?」
「えっ、大歓迎だよ!」
突然の恵美ちゃんの誘いに戸惑いを隠せず
裏返った変な声が出てしまった。
初めて恵美ちゃんから誘われたから嬉しくてたまらなかった。
もしかして二人きりかな?
なんて淡い期待を抱いたが、屋上にとたどり着くとすでに岩ちゃんと上原が座っていた。
ですよね、二人のわけないですよね。
まだ二人は俺らの存在に気がついていない様子でケラケラと楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
「岩泉ってちょっとアホなんだね!」
「うっせー!上原には言われたくねぇよ!」
なんて
あんなにあの二人って仲良かったっけ?
中学の時も高校に入ってからもずっと岩ちゃんに引っ付いてた俺は
上原と岩ちゃんが二人きりで話してたところなんて数えるほどしか見たことない。
岩ちゃんが取られてしまうんじゃないか。
今はそんな感情でいっぱいだった。
「徹くん?どうしたの?」
大きなまん丸な瞳で上目遣い。
なんて可愛いんだろうか、この生き物は。
上原に岩ちゃんが取られるってよりも
岩ちゃんに恵美ちゃんが取られる心配しなきゃじゃん。
「なーんかあの二人いい感じだから、どっか二人で行こうか!」
恵美ちゃんの腕を掴み屋上から出た。
ぎゅっと手を握ったまま人気のない廊下を歩く。
昼休みだからあんまり人がいないのだろう。
…恵美ちゃんの手、小さくて可愛いな。
手を無意識を装っていつまでも握っている。
不意に恵美ちゃんの顔見ると、真っ赤にして繋いでいる手を見ていた。
「あ、わ、ご、ごめん!!!!」
手を離すと、下を向いて「大丈夫、うっ、嬉しかったから」なんて言うもんだから
期待しちゃってもいいよね?
わ
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作者名:カッパ | 作成日時:2018年8月13日 4時