夢を見破る *9 ページ9
「あれ…なんで私
私は頭に浮かんできた疑問をそのまま口にする。
一瞬、4人の纏う雰囲気がピリッと、
ほんの僅かな時間だがひりつく様な空気に包まれた気がした。
しばしの沈黙
ハハッと小さく笑った後、口を開いたのは志麻さんだった。
「なんでって、そりゃお前が夢を見てるからだろ?」
志麻さんにとって私の質問は愚問だったのだろう。
彼は”なに当たり前のことを”とでも言いたげな口ぶりで私の質問に淡々と答えた。
「夢……?でも…だとしても!この夢はハロウィンの日だけのはずじゃ…」
志麻さんの答えに納得できず困惑しながら反論すると、クスクスと小さな笑い声が聞こえてきて周りを見渡す。
余程私の困惑具合が可笑しかったのか他の3人が小さく笑っているのが見えた。
私だけがおかしい、間違っているみたいな空気感が怖い。
(だって今まではハロウィンの夜にしか貴方達には会えなかったでしょ…?)
次に口を開いたのはセンラさんだった。
“あー、僕からAに一つ聞きたいことがあるんですけど”と前置きをした後、ニコリと笑って私に問いかける。
「それって、誰から聞いたんです?」
「誰からって……」
答えようとして、ふと考える
あれ、私”夢を見るのがハロウィンの夜だけだ”って誰かに言われたっけ…
「僕ら、夢を見るのはハロウィンの夜だけだなんて一言も言ってないですよね?」
お決まりの笑顔を貼り付けたままセンラさんは言葉を続けた。
見慣れてるはずのセンラさんの笑顔。
いつもは落ち着くその笑顔が何故か今だけは怖かった。
細い瞳の奥で黄色がどろりと揺れている。
(「Aちゃんの話だと年に一度、ハロウィンの夜にだけ夢に出てくるんだよね、その悪魔達」
「なら、どう足掻いてもハロウィンまでは進展なしか」)
今日、オカ研でした会話を思い出す。
たしかに一ノ瀬先輩や光さんは”ハロウィンまで進展はないか”と言っていたが、それはあくまで私の話を聞いた上での仮説でしかない。
それを悟った瞬間、冷水を頭から被った時みたいに全身の血液がサーッと引いていく感覚に陥る。
そう、すべてが私の憶測、私が話した事でしかないのだ。
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悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - Famiraさん» コメントありがとうございます!😊 この頃更新が中々出来ずに大変申し訳ございません。頑張って続きを書いていくのでどうか最後までお付き合い頂けたらと思います! (2023年4月17日 16時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
Famira - とってもおもしろいです!!続きが気になります!応援してます! (2023年4月12日 19時) (レス) id: 1bc63f0a03 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - 笹音さん» 嬉しいコメントをありがとうございます😭💕期待にお応えできる様になるべく更新頻度を落とさずに頑張りますね (2023年4月4日 20時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
笹音(プロフ) - めっちゃ気になるぅ!早く続きをみたいです! (2023年4月3日 18時) (レス) @page12 id: bd99ba81f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2023年2月7日 11時