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夢を見破る *7 ページ7

“俺を愛して”という彼の瞳はどこか寂しげで
この人もどこか心の奥底で誰にも言えない孤独を感じているのかもしれないと何故だか思った。

光さんの心の奥に触れたい気持ち
私が悪魔(かれら)を想う気持ち
悪魔(かれら)からの好意

私の中でいろんな感情の矢印が入り混じって
ごちゃごちゃに絡まってしまい答えが出せない。


彼の告げた“愛して”の言葉に何も返せずにいると
光さんは私の返事を待たずに座っていたブランコから立ち上がって

「長居しちゃったね、そろそろ帰ろっか」


促すように私に手を差し出した。


“気持ちに応えることができなくても
せめて今、この手だけは取りたい”


自分の中で自然と湧き上がった感情。

光さんの手を取ってブランコから立ち上がる。

手を差し出した本人はまさか本当に私が手を取るとは思わなかったのか一瞬驚いたように目を見開き、その後ゆっくりと嬉しそうに口元を緩めた。

もしかしたら私がブランコから立ち上がるための一瞬の手だったのかもしれない。

それでも私も光さんも繋いだ手の力を緩めることはなく残りの帰路へと歩みを進めた。





お互いに何も言わずに歩く道のり。

公園に寄る前はあんなに気まずく思っていた光さんの隣が不思議と心地よく感じ始めた頃、私の家の表札が目に入ってきた。

足を止めて、ここが自宅だと告げると光さんも足を止めて繋いでいた手を離してくれた。


「…送ってくれてありがとうございました。」
「いえいえー。またね、Aちゃん」


2人分の温かさを徐々に失う手に少しの寂しさを感じながらも送ってくれた光さんにお礼を告げ、家の中に入ろうと鍵を開ける。


“Aちゃん。”


ドアノブを回そうとした瞬間に呼ぶ声がして振り返ると別れを告げたはずの光さんがまだそこにいた。


さっきの答えが知りたいとかだろうか…と身構える私と裏腹に光さんは穏やかな表情で語り出す。


「…自分が今、幸せか不幸せか。一概に正解のない答えを求められた時、最終的にどっちか決めるのは他人じゃなくAちゃん自身だよ。世間や他人の意見に惑わされないで。よく見て、考えて自分の心に素直であってね」



“今度こそ、バイバイ”



背中を向け、手をヒラヒラ振って彼は来た道を戻っていく。


遠くなるその背中に小さく”バイバイ”と呟いた。

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設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , うしさせ   
作品ジャンル:ファンタジー
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悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - Famiraさん» コメントありがとうございます!😊 この頃更新が中々出来ずに大変申し訳ございません。頑張って続きを書いていくのでどうか最後までお付き合い頂けたらと思います! (2023年4月17日 16時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
Famira - とってもおもしろいです!!続きが気になります!応援してます! (2023年4月12日 19時) (レス) id: 1bc63f0a03 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - 笹音さん» 嬉しいコメントをありがとうございます😭💕期待にお応えできる様になるべく更新頻度を落とさずに頑張りますね (2023年4月4日 20時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
笹音(プロフ) - めっちゃ気になるぅ!早く続きをみたいです! (2023年4月3日 18時) (レス) @page12 id: bd99ba81f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠永 | 作成日時:2023年2月7日 11時

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