夢と傷跡 *3 ページ32
それはある年の
「なぁ、お嬢〜ほんとに1人で行くん?」
「えぇ、そうだけど。」
眷族が増えてから数年が経ち、久しぶりに人間界へ行くことにした悪魔。
そしてそれを見送りに来た眷族のうちの1人が駄々をこねていた。
「なぁ、どーーーしても付いて行ったらあかん?」
「だめよ、坂田は目を離すとすぐどっか行って迷子になるんだから。
「その辺にしとけ坂田。あまりお嬢様を困らすなよ」
志麻に諭されたのが気に食わないのか坂田は両頬を膨らませていかにも拗ねてますオーラ全開だ。
「いい子に待ってられたら、お土産にチョコレート買って来てあげるからね」
「マジ!?俺いい子でお留守番する!」
“チョコレート”という単語に目を輝かせ身を乗り出す坂田の髪を優しく撫でる。
打って変わって機嫌を良くした坂田を遠目で見ていた志麻とセンラは顔を見合わせてやれやれと笑っていた。
「単純ですねぇ、坂田は。それはさておきお嬢様?本当に1人で大丈夫です?荷物持ちとか。」
「平気よ。基本的には見て周るだけだから。チョコレートくらい私1人でも持って帰れるもの。」
「過保護かよセンラ。他でもないお嬢様がそう言ってんだ。大丈夫に決まってんだろ。」
「それじゃ、俺達はお嬢様のご帰宅に合わせて宴の準備をして待ってます。お気をつけて。」
「お嬢ー行ってらっしゃいー!チョコ忘れんでなー!!!」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」
「お気をつけになってくださいね、お嬢様。」
「行って来ます。」
久しぶりの人間界は以前より発展していて
見るもの全てが新しく悪魔の心を弾ませた。
いつも通り少し人間達の様子を伺って
坂田と約束をしたチョコレートをお土産に買って
そうだ、いつも執事業を頑張ってくれている他の3人にも何かお礼を買って帰ろう。
「喜んでくれるといいんだけど…」
紙袋を胸の前でぎゅっと握りしめる。
そして
それは唐突に
[居たぞ!!!悪魔だ!!!]
[逃げたぞ!追え!!!]
[殺せ!!!八つ裂きにしろ!!!]
[忌々しい悪魔め!お前らのせいで!!!]
「………え……あ……」
何の前触れもなく
悲劇は起きた
369人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - Famiraさん» コメントありがとうございます!😊 この頃更新が中々出来ずに大変申し訳ございません。頑張って続きを書いていくのでどうか最後までお付き合い頂けたらと思います! (2023年4月17日 16時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
Famira - とってもおもしろいです!!続きが気になります!応援してます! (2023年4月12日 19時) (レス) id: 1bc63f0a03 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - 笹音さん» 嬉しいコメントをありがとうございます😭💕期待にお応えできる様になるべく更新頻度を落とさずに頑張りますね (2023年4月4日 20時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
笹音(プロフ) - めっちゃ気になるぅ!早く続きをみたいです! (2023年4月3日 18時) (レス) @page12 id: bd99ba81f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:悠永 | 作成日時:2023年2月7日 11時