検索窓
今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:22,659 hit

夢と傷跡 *1 ページ30

「…利用っていうのはどういう……」

“利用”という言葉にとっさに思い出すのは一ノ瀬さんの言葉で、その真意を訪ねようと口を開く。


「それは……」

「はいはーーーい。密会中のとこ申し訳ないけど失礼しまーす。」

ばーーーんっと効果音がしそうな勢いで突然扉が開き、抱き合っていた姿勢を解いた私たちが条件反射で音の方を見ると扉の先に立っていたのは3人のシルエットだった。


「リーダー…」
「志麻さん、坂田さんも。」


“おいおいセンラー、リーダーの俺を差し置いて抜け駆けはねーだろ”とうらたさんは戯けたように手をヒラヒラと振っているが後ろの2人はなんだか重い雰囲気を醸し出していてそれがなぜだか胸をざわつかせる。

徐に目を閉じ、短く息を吸い込んだうらたさんがゆっくり目を開けると先ほどまでの戯けた空気は激変した。


「そこから先は俺が話す。」




………昔話をしよう。



昔むかし、とある時代、とある魔界に
それはそれは絶大な魔力を持った女性悪魔(ディアブラ)がいました。


彼女には生まれた頃から家族はいません。
生まれ持った彼女の魔力に耐えられなかった母親は出産で命を落とし、父親は最愛の妻を死へ追いやった張本人だと彼女を批難し罵倒し迫害しました。


耐え切れず家を飛び出し行く当てのなくなった少女。


しかしどこに行っても何をしても彼女の居場所はなく、
強すぎる魔力を恐れ魔界の誰もが少女を忌み嫌い遠ざけ


彼女の中に残ったのは”孤独”と”消えない傷跡”だけでした。



孤独は一層少女を強く悪魔にしました。



自分を否定する者を許さず自分を守るために他人を傷つけ続けた彼女はいつしかディアブラと呼ばれ森の奥の奥にあるこの広い館に独り、身を置くことになったのです。



そんな彼女の生活に変化が起こったのは人間界と魔界が最も近くなるいつかの収穫祭の日。



悪魔は人間と技術に興味を持ち度々人間界に訪れては色々な物を見ることが好きでした。


その年の収穫祭はシトシトと降る雨の日で、そんな天気を憂鬱に感じた悪魔は早く用事を済ませさっさと魔界に帰ろうといつもは通らない路地裏の道を急いでいました。


すると、来た時には無かった何かが道を塞いでいるのを見つけます。


足を止めて近づくと、そこで見たのは






今にも消えてなくなりそうなほどやせ細った人間の子どもでした。

夢と傷跡 *2→←夢を見破る *29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
369人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , うしさせ   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - Famiraさん» コメントありがとうございます!😊 この頃更新が中々出来ずに大変申し訳ございません。頑張って続きを書いていくのでどうか最後までお付き合い頂けたらと思います! (2023年4月17日 16時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
Famira - とってもおもしろいです!!続きが気になります!応援してます! (2023年4月12日 19時) (レス) id: 1bc63f0a03 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - 笹音さん» 嬉しいコメントをありがとうございます😭💕期待にお応えできる様になるべく更新頻度を落とさずに頑張りますね (2023年4月4日 20時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
笹音(プロフ) - めっちゃ気になるぅ!早く続きをみたいです! (2023年4月3日 18時) (レス) @page12 id: bd99ba81f4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:悠永 | 作成日時:2023年2月7日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。