夢を見破る *22 ページ22
“Aを殺すのか?”
そらるさんの問いかけはセンラさんにも聞こえていたようで2人して進んでいた足がピタリと止まった。
わずかコンマ1秒の目配せの後センラさんは笑顔でそらるさんに振り返る。
「…なんのことでしょう?」
「人聞き悪いこと言わんでくださいよ。そもそもまふくんと言いなんでみんなうちの”姫”のこと知ってるんです?」
センラさんに続いて俺も加勢する。
質問を質問で返すのはマナー違反だと分かっているがこの苛立ちを誤魔化す為にはこれしか方法がない。
「まふはともかく俺らは本人から話を聞いてるからな。彼女の事はよく知ってるよ。もしかしたら君たち以上に、ね?」
「………あ、そう」
目の前の死神が怪しげに笑う。
これが挑発だと言う事は十分分かってる。
だけど、頭で分かっていても俺らよりもAを知っていると豪語するこの男を一発ぶん殴ってやりたくて握る拳に一層力がこもる。
俺が衝動に耐えてる事を知ってか知らずかそらるさんは両手を広げた後、にっこりと笑う。
「せっかく2人きりなんだ。ゆっくり話をしよう。」
“2人きり”というワードに思わず反応してしまう。
実は目配せしたあの瞬間からセンラさんはこの場にいない。
今俺の横で笑顔を崩さず立っているのはセンラさんが作り出した”幻影”だ。
本物のセンラさんは坂田を止めに行っている。
俺の役割はその間の時間稼ぎというわけだ。
「なんだ、バレてたんすか。死神様は大層有能でいらっしゃる。」
「それはそれはお褒めに預かり光栄です」
盛大に皮肉を込めた笑顔も言葉も余裕で返されてしまった。
「志麻くんはAのこと好き?」
思いもしない話題に頭の中が真っ白になる。
好き…?
誰が?誰を…?
「ハ…?急に何すか。悪いんすけど今はヤロー同士の恋バナに付き合ってる時間はな
「Aとお前らの主人は違う」
話を切り上げようとあらゆる言葉を並べる。
そんな俺の話を最後まで聞かずにピシャリとそらるさんの言葉が覆い被さった。
「4人の中で君がそれを1番分かってるんじゃないのか?」
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悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - Famiraさん» コメントありがとうございます!😊 この頃更新が中々出来ずに大変申し訳ございません。頑張って続きを書いていくのでどうか最後までお付き合い頂けたらと思います! (2023年4月17日 16時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
Famira - とってもおもしろいです!!続きが気になります!応援してます! (2023年4月12日 19時) (レス) id: 1bc63f0a03 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@D姫終焉章連載中(プロフ) - 笹音さん» 嬉しいコメントをありがとうございます😭💕期待にお応えできる様になるべく更新頻度を落とさずに頑張りますね (2023年4月4日 20時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
笹音(プロフ) - めっちゃ気になるぅ!早く続きをみたいです! (2023年4月3日 18時) (レス) @page12 id: bd99ba81f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2023年2月7日 11時