Diabla姫と悪魔執事【u/s/s/s】 (ページ28)

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プラグマな愛＊7 ページ28

—side:センラ—

改めて紅茶を淹れ直し部屋に戻ると
Aはソファの肘掛にもたれるような体勢で寝息をたてていた。

そっと机の上にシルバートレイを置く。

きっと泣き疲れてしまったのだろう
先程まであんなに泣いていたのだから仕方ない。

彼女は幼い顔で眠っている。

“ここで寝たら体を痛めるよな”

そう考え、再びベッドへ運ぼうと手を伸ばす。

その瞬間にAの体が淡い光に包まれた。

この光はAが夢から目覚める時に出るもの
数分も掛からずにAは現世で目覚めるだろう。

「もうタイムリミットですか」

“早いなぁ”と1人小さく呟く。
僕は前髪をかき分け、Aの小さな額にキスをする。
Aがフフっと微笑んだ。

「また会いましょう、A。
………おやすみ」

Aを包む光が弾けて消えた。

部屋はシンっと静まり返る。
先程までAが寝ていた場所に腰掛け、
2人で飲むはずだった紅茶に口付ける。

「あっま…」

Aが気に入ってくれたはちみつ入りの紅茶は
僕には甘すぎる

それでも、

「やっぱり変わってへんね」

だってそれは、君も好きだったから。

僕のいれた紅茶を飲んで微笑んでくれた君を思い出す

君へのこの気持ちが
執事としての純粋な忠誠心か
家族愛か、はたまた恋慕か

いや、きっと僕の場合
”恋慕”なんて陳腐でキレイな言葉じゃ表せない

この瞳のようにもっと深く、最奥がない
ドロドロでグチャグチャな歪んだ愛。

極端なことを言えば僕は君さえいればそれでいい
どんな姿でも、どんな風に変わろうと

君のそばに僕が居れる、それだけが幸せだから。

そのためには誰だって蹴落す、犯罪だってなんだってする。いざとなれば神様だって欺いてみせよう。

“……まぁ、神様なんて信じてませんけどね”
自分の言葉の矛盾に気づいて鼻で笑った

部屋の窓から見える大きな満月を見つめる。

「愛してる……永遠に」

満月に誓う。

どれほどの歳月(じかん)がかかっても
君を再び手に入れてみせよう

だって僕の愛は永続的(プラグマ)な愛だから。