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3度目の夢 ＊6 「おやすみ」 ページ20
ドアノブを掴む自分の手の上に、自分よりは明らかに大きい掌が重なる。
白い手袋越しでも、男性特有の手の骨張った感じや指の長さが分かる。
男は空いている左腕で私を後ろから抱きしめるようにギュッと引き寄せた。
自分の胸元付近に回されている男の腕、自分の背中にピッタリと感じる男の体温に驚いて体を硬直させていると
男は小さく笑い、ゆっくり焦らしながら自分と私の右手の指と指とを絡ませる。
私の右耳に男の顔が近づく
近づいた男は息をたっぷり含んだ声で
「だめですよ、ここは、大切な場所やから」
“君にとっても、僕らにとってもね”
耳元で囁くように告げられたその声色は
たっぷりの色気と若干の狂気を孕んでいた。
その声を聞いた途端、唐突に抗えない眠気が私を襲い意識が遠くなるのを感じる。
(せめて顔だけでも見たい…)
振り返りたいのに力が抜けていく
願いは虚しく私はそのまま彼の腕の中で眠りに落ちた。
「ふふ、可愛い寝顔やね…」
眠りについた無防備な少女を横抱きにし
黄色の
”おやすみ 僕のお姫様”
彼は闇の中へ消えていった
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作者名：悠永 | 作成日時：2022年11月2日 12時
