君に一番のキラめきを

18 ページ19

....



室内での練習を終えて、グラウンドに向かう。



今日も絶好の野球日和。雲一つない綺麗な青空で、太陽がギラギラと私達を照らしてくれる。





グラウンドに一歩足を踏み入れれば、一気に気が引き締まる。




｢…うん、私はやれる……きっと｣





グラウンドにはすでに何人かの選手がいて、みんなが好きなように軽いウォーミングアップをしている。





私もウォーミングアップをしようと思っていた時、後ろからトントンと肩を叩かれた。





｢…か、監督?｣





｢今日、レフト行ける？｣





｢守備固めですか？｣





｢いや、頭から｣






いやいや、私昨日やっとベンチに入ったばっかりですよ！
途中からなら理解出来るけど、いきなりスタメンなんて…。





｢私には……｣





｢失敗しても別にええよ。責任は全て私がとるけ。今日は練習だと思ってやりんさい｣





｢でもっ！｣






｢俺がカバーすればええ話ですよね、監督？｣






横から割り込んできたのは龍馬くんだった。





嫌な顔一つせず、さも当たり前かのようにそう言って少しだけ口角を上げ、笑っていた。






｢俺達チームメイトやろ？カバーの一つや二つなんて事ないわ｣





｢私…守備だけじゃなく、バッティングでも足を引っ張ると思いますよ？｣






｢始まる前から何もかも決めたらあかん。それは俺達を応援してくれるファンにも失礼や｣






まだ静かなスタンドを見ながら龍馬くんはそういった。






ファンにも失礼…か。そうだね、私達は自分のためだけに野球をやってる訳じゃないんだ。




私は自分の事で頭が一杯でファンの事なんて考えてなかった…、バカだな…私は。




私よ。逃げないって決めたんだから…ちゃんとやらないと、真正面からぶつかってもいいから。





全力でやって転けるなら良いじゃないか、私を笑うヤツは放っておけばいい。






｢…監督、やらせてください…｣






｢そう言うと思ったわ！｣





ニヤリと目を細めて笑った監督。






こんなに嬉しそうな監督、初めて見たい気がする。







｢A、今日は一緒にがんばろな｣






｢もちろん…っ！｣






｢ふっ、自然に可愛く笑う様になったやん｣






｢えっ？｣






｢やっぱ…何でもないわ｣









龍馬くんは帽子を深々と被り、顔を見せずに誠也くん達がいる方へ走っていった。









らしく無いこと言わないでください……龍馬くん。









...

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す