君に一番のキラめきを

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翌朝、私は誰よりも早く球場に入り、自主練を始めた。





とある事からバットを握る事すら出来なくなってしまった私…それでも今はちゃんとバットを振れる所まで回復した。





そんな私でも、バッターボックスに立つと上手くバットを振ることは未だに出来ない。






バッティングホームが崩れているのはよくわかっているのだが、体はいうことを聞いてくれない。






｢…なんで!?……｣







焦ってはダメだと思っていても、結果が出ない為どうしても焦ってしまう。






ただのバッティング練習なのに、気分よく打つことが出来ない。






｢一人でやるから余計に焦るんだよ｣





｢…！｣





｢ごめん、驚かせちゃった？｣






｢堂林さん…｣






苦しんでるAちゃんを見てられなくてさ、と爽やかな笑顔でやって来たのはあの鯉の王子(プリンス)だった。






｢焦る気持ちめちゃくちゃ分かるよ…俺もそうだから…。情けないことに未だにね｣





｢堂林さんでも焦るんですか？｣





｢ばーか、何言ってんの！焦るに決まってる。あれだけ期待されながら、毎年泣かず飛ばすだからね｣





あー、本当に情けないわ…笑えねぇと愚痴をこぼす堂林さん。





普段はニコニコと笑って優しい雰囲気を醸し出してる(悪い顔でたまに人をいじってる時もある)




今は儚く、どこか寂しそうな顔をしてどこか遠くを見つめている。






｢…この世界に余裕綽々な人なんて滅多にいないんじゃない？｣




｢龍馬くんも？誠也くんも？｣





｢多分ね、だってこの世界は油断してたら大きな波に飲み込まれる様な世界だし｣






そう考えればそうだ。この世界は喰うか喰われるかの世界。



余裕ぶっこいてる暇なんてない。みんながみんな何事にも一生懸命やってる。






｢Aちゃんだけが一人で焦る必要はないよ。一人で苦しいんなら、俺でも長さんでも誰でも良い…頼りな｣






頭を軽くポンポンっとされた。このチームのみんなはどうやら、私の事を子供扱いしてるようだ。



でもなぜか、それが心地よく感じてしまう。





｢あ、俺も自主練まぜてよ。ホームの確認してあげる！｣





｢えっ…でも堂林さんに迷惑じゃ、｣






｢俺がやりたいって言ってるから全然迷惑じゃないよ！はいっ、練習練習！｣







何となく、堂林さんと話した事で気持ちが軽くなった気がする…かな。





ありがとうございます…！






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