恋愛映画と違う道 (ページ5)

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阿「じゃあ、逆に先生から１つ質問しようかな」

阿「なぜ数学の先生になりたいの？国語でも日本史でも英語でも化学でもない、数学を選ぶ理由は？」

「国語や英語は、必ずしも答えが１つでない
でも、数学はどれだけ長い過程があっても、必ず最後には１つの答えが導き出される、人によって解き方が様々であっても、最後には同じ場所に帰ってくる」

「数字が変われば問題は無限に存在する、長い過程を経て、最後に答えがバンッと出たときの達成感は計り知れない、この魅力を少しでも多くの人に知ってもらいたい」

「でも、これはただ、数学が好きな人が自分の好きなことを語っているだけだけど、自分の授業を通して、苦手が得意に変わる、分からないが分かったに変わる、そんな変化を与えられる人になりたい、だから私は数学教師を選びます」

阿部先生の授業でも、きっといるはず
得意まではいかなくても、苦手がやってみようへ
分からないが分かりやすいに変わった人がたくさんいるはず、だから自分もそんな風になりたい

『……』

「ダメ、ですかね…」

阿「将来、野波さんの教え子になる人は幸せ者だね、こんな素敵な先生に出会えるって」

「…、阿部先生の教え子の1人になれて、私は幸せ者だなって思ってます、阿部先生にとっては多くの生徒の中の1人にすぎないかもしれない、だけど、私たち生徒にとって、自分の人生に関わる先生はそんなに多くない、ましてや担任の先生は特別」

「きっと、これからの人生忘れることはありません
教師を目指す以上、誰よりも、目指す理想の一つだから」

阿「…、俺ってすごく幸せ者だね…、ありがとね」

生徒と教師
この関係はどうやっても変わらない
だけど、普通とは違うちょっと特別な関係だからこそ絶対に忘れられない

生徒と教師じゃなければ、同級生だったら、
そう何度も願ってみるけど、この関係性でなければ出会えなかった気がする

すごく近くにいるのにすごく遠い
きっと私たちは周りから見ればまだまだ子供で
もう大人だから、子供じゃないんだからと言われながらも、結局は守られる立場

子供と大人の狭間でもがく私たち
この感情は、信頼か、尊敬か、憧れか

決して恋心であってはいけない

生徒と教師だから

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