恋愛映画と違う道 (ページ38)

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知って欲しかったページ38

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岩「阿部、」

阿「ん？」

岩「これ、野波さんから」

阿「手紙…？」

岩「阿部に渡してほしいって頼まれた」

岩「最後なんだから、自分で渡せって
いったんけど」

「"最後だからこそ岩本先生から渡して欲しいんです"って、ちょっとよく分かんないこと言ってた」

「これ、預かってきたから渡しとく」

阿「ん、ありがとね」

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阿部先生へ

3年間、ありがとうございました。
先生のおかげで無事、第一志望にも合格することができました。晴れて、4月からは阿部先生の後輩となります。先生に恥じないように4年間頑張ります。

先生は、覚えていますか？
体育祭の時、借り物競走のお題は何だったのかという話。あの時、答えは言わなかったけど、あの時私のお題に書かれていたのは『憧れの人』です。

私の憧れの人は、阿部先生。
きっとこれはずっと変わらないと思います。

私が目指しているのは、阿部先生のように
生徒一人一人の心に寄り添ってくれる先生です。

先生のように生徒から信頼され、
授業が好きだと言ってもらえる高校教師になります。

この3年間、阿部先生の背中を追って
数学の高校教師を目指しました。
阿部先生の姿を見て、憧れたを抱いたのはもちろんですが、恋心も抱きました。

でも、先生に伝えるつもりはありませんでした。
でも、最後になって知って欲しいと思ってしまったんです。私が阿部先生を好きだったということを。

先生はそんなこと思ってないのは分かっています。
ただ自分勝手なだけだってこと。
でも、それでも知って欲しかった。

阿部先生の返事は必要ありません。
ただ、自分を好きだと言ってくれる人がいたなー
くらいに思っててもらえればいいです。

こんなこと、気持ち悪いですよね。
すみません。

本当にただ知って欲しかっただけなので
この手紙は捨ててもらって大丈夫です。

1年、2年と過ぎていけば
人の記憶は薄れていきます、だから
この瞬間だけ、今日だけ覚えていてください。

私が阿部先生のことを好きだったということを。

私も、今日で終わりにします。
私もちゃんと忘れて進んでいきます。

3年間、本当にありがとうございました。
阿部先生のクラスで過ごした3年間は最高の思い出です。

3年1組、野波A

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