恋愛映画と違う道 (ページ29)

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阿「期待に応えなきゃって、こんなに応援してくれてるのに、結果ちゃんと残さなきゃって不安になる」

阿「何もしてない時間がもったいなくて、何もしてないと怖くてたまらない」

阿「だけど、自分の未来のために、今の自分が追い詰められて苦しくなったらダメだよ」

阿「自分の目指す未来のために、なんで今を追い詰められないといけないの？違うでしょ？」

阿「未来を思い描いて希望に溢れてないと」

阿「だから、不安に落ち潰されそうになったら、少し立ち止まって休憩しないとダメだよ」

阿「そのまま走り続けたら絶対にダメ
保育士になりたい、警察官になりたい、学校の先生になりたい、そう思い描いていた頃はあんなにキラキラしてたはずなのに、今はなんのために頑張ってるのか分からないような状態になったらおしまいだよ」

阿「未来は希望っていっぱいだ
だけど、迷ってしまったら、抜けられなくなる」

阿「だから、息抜きしないと、ね？」

「……」

阿「なんで、学校の先生になりたいと思ったの？」

阿「数学の楽しさを伝えたいんでしょ？なら、自分が楽しくやれてないと意味ないでしょ？」

阿「今の野波さんは全然楽しそうに見えないよ」

阿「1年前の野波さんの方が輝いてた」

阿「自分の夢に押しつぶされて
目的を見失ってしまったらダメだよ」

そう言って、阿部先生は図書室から出ていった

私の大好きなおにぎりを置いて

「先生、あの時の話、覚えててくれたんだ」

「先生ありがとう」

Aの目から涙が溢れ
それが頬をつたい、涙は夕日に照らされていた

Aの顔は、涙は溢れているものの
微笑みを浮かべ、柔らかな表情になっていた

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