恋愛映画と違う道 (ページ24)

今日:4 hit、昨日:88 hit、合計:20,304 hit

・ページ24

.

なんか今日のAは
朝からちょっとおかしい

なんかいつもより元気がない気がする

そう思いながらなんも声をかけんかったことを
後悔したのは、阿部ちゃんに抱き抱えられて
教室を出ていく姿を見たときやった

「なんかやばいかも」

そう感じたのは
3限目の阿部先生の授業が始まった時だった

ちゃんとやんなきゃ
ちゃんと先生の話聞いてやんないとって
思ってるのに、全然頭に入ってこなくて

もう、前を向いているだけでしんどかった

.

阿「じゃあ、今配った問題やって
当たってる人は前に書きに来てねー」

そう生徒たちに声をかけると

当たっている子たちは焦りはじめ
周りの人に聞いたり、自分の当たっている問題から
やり始めていた

阿「分かんないところは、周りの人に聞いたりしながらみんなでやっていからね」

阿「これ答え合わせできないと、この授業おわんないよー」

『えぇー、それは阿部ちゃんきついって』

『こんな笑顔で言うことじゃないって』

阿「はいはい、文句言わない、笑」

阿「頑張ってー」

みんなの出来具合を回りながら確認して
どうしても分からないって子には
少しヒントを与えたりしていた

そんな時、ふと視界に入ったのは

野波さんだっだ

でも、様子がおかしかった
いつも真面目にプリントに取り掛かっているのに
今日は、机に伏せて寝ていた

絶対におかしい

阿「野波さん、野波さん」

声をかけても全然反応しない

ふと触れた頬は、すごく温かかった

阿「野波さん、わかる？」

「……」

阿「ごめん、みんな問題解いてて」

阿「野波さん、保健室まで連れて行ってくるから」

そういって野波さんを
抱き抱えて急いで保健室に向かった

俺は、そのとき向けられていた康二の視線にも
廊下で見ていた岩本先生の視線にも気づいていなかった

.