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一番の被害者 ページ34

「ここまでが、時雨の分」

三年を血だらけにして、リコ先輩はつぶやく

「お前らの分もやろうか?」

ナイフを手の甲へ近づけ、こちらを見る

宵ーはこわばった顔でリコ先輩を見ると
ふるふる、と首を横に振った

はっきり言って、リコ先輩からは異様なほどの狂気が溢れていた
だから私たちは、怖がった顔でリコ先輩を見ることしかできなかった

「リコ、怖がってるぞ」

ヒロ先輩が肩に手を置くと、リコ先輩はその場で崩れ落ちた

「だ、大丈夫ですか?!」

思わず声をだした
しかしリコ先輩に、私の声は聞こえていなかった

「は、は…なんで今までこうしなかったんだろ」

「おいリコ、どうした?」

「親友を、仲間を、後輩を!オレはみんな傷つけた!
なにが三年には逆らえない、だよ
そんなのオレの言い訳だ

そんなことしてるから、みんな消えていく
もうだれも傷つけたくない、傷つけたくない」

涙がこぼれて、とまらなかった

リコ先輩だけじゃない
みんな、泣いていたんだ

胸の奥が苦しくなって、
息すらまともにできなかった

リコ先輩は、この一件の一番の被害者だったのかもしれない
小さいころからの親友を
本当は優しくしたかったはずの私たちを

痛めつけなくてはいけなかったのだから

「リコ先輩のせいじゃ、ないよ」

宵ーは小さく呟いた
ただ、小さいながらも皆の耳にはしっかりと届いていた

「みんな自分が大切なんだよ、だからリコ先輩の判断は正しかった
でも、三年の意地が悪すぎたんだ」

足元でウンウン唸っている三年たちを見て、話を続ける

「逆に三年に歯向かったら、リコ先輩がその対象になっていたかもしれない
ヒロ先輩とメル先輩という大切な友達を失っていたかもしれない」

ボクは歯向かって喜多たちに怒られちゃった
と言いたげに、私たちを見て苦笑する

そして宵ーは、最後に言った

「リコ先輩の判断は正しかった、
リコ先輩は、なにも悪くない!」

「西野空…」

リコ先輩が、宵ーを呼んだ

「先輩、私たちもいますよ」

まだ痛むうでを押さえながらゆっくりと立ち上がる

「そうですよ!大丈夫ですよ!」

美寿は元気づけるように明るい声を出した

「オレたちだって、力になります!」

「なれます、のほうがいいと思う」

元気に言う喜多と、静かに付け足す香宮夜
ヒロ先輩は目に涙をためていた

「良かったじゃん、リコ」

メル先輩は
優しく、優しく言った


リコ先輩は我慢することもなく泣いた
さっき流した涙とは、まったく違う涙だった

保健室でのはなし→←作者より


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fal(プロフ) - じゃむさん» 了解です、ご協力ありがとうございます! (2015年4月2日 17時) (レス) id: d2fda7bcd1 (このIDを非表示/違反報告)
じゃむ(プロフ) - 小説書きがいいかと (2015年4月2日 17時) (レス) id: ccb7ad9633 (このIDを非表示/違反報告)
fal@天河原(プロフ) - 村雲カノンさん» ありがとうございます! (2014年11月12日 17時) (レス) id: d2fda7bcd1 (このIDを非表示/違反報告)
村雲カノン(プロフ) - 占ツク初心者の村雲カノンです。すごく面白いです!これからも頑張ってください! (2014年11月12日 17時) (レス) id: 8f3307d8c2 (このIDを非表示/違反報告)
fal@天河原(プロフ) - 熊森@可愛い弟がほしくなってきた←さん» ありがとうございます、楽しんでいただけたならとても嬉しいです、コメも嬉しいです(*´∀`) (2014年8月7日 20時) (レス) id: 53d8d045ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fal | 作者ホームページ:http  
作成日時:2014年6月19日 22時

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