安室透(4) ページ3
side貴方
「安室さん、今日はありがとうございました」
夜11時。
自宅前へと送り届けて下さった彼にペコ、と頭を下げる。
12月24日、クリスマス・イヴ。
安室さんとお付き合いをさせて頂いて始めてのイベント。
これ以上にない程贅沢な日だった。
頭を上げても特に返事のない彼に不思議に思いながら、早く家の中に入った方がいいのかな?と思いくる、と背を向けようとする。
すると掴まれた肩に間抜けな声が思わずこぼれた。
「あ、安室さん…?」
「…もう終わりですか?」
「え…?」
どこか熱っぽい瞳で見つめてくる彼。
その瞳と言葉の意味が繋がらない程子供ではない。
でも心の準備なんてもちろん出来てないし答え淀んだいると包まれた体。
「ありきたりな台詞ですけど…、朝まで側にいさせてくれませんか____?」
「…っあの…!」
「まだ離れたくない。もっと貴方の側に居たい」
「あ、安室さん⁉//」
「......なんて言ったら笑いますか?」
「へ…」
ぱ、とさっきまでのが嘘のように悪戯っ子の笑みを浮かべる安室さん。
呆然として、その後本気で戸惑っていた事に物凄く恥ずかしくなり顔が沸騰したように赤く染まる。
ぷくぅ、と膨れ文句を言えば更に嬉しそうに頰を緩める彼はもう一度私を腕に収め直した。
「すみません、ついどんな反応してくれるか気になって…」
とんでもない演技力だ。
完全にしてやられて悔しい気もするが私なんかが彼に勝てる訳もないのでやり返す気は毛頭ない。
もう一度ありがとうございましたと言って今度こそお別れをしようとすると再び掴まれた肩。
流石に二度騙される程馬鹿な私じゃ…
「笑わないんですね」
「え?」
「…安心しました。ならもう一度言います。Aさん、貴方と離れたくない。朝まで貴方を愛してもいいですか?」
「も、もう冗談は…」
「冗談にみえますか?」
「…っ!」
安室さんの瞳が本気かどうかなんて分からない。
いつも"何か"を隠してるのは分かってる。
またからかわれてるだけなのかもしれない。
でも____
「…わ、たし…も…‼//」
彼の側に居たい。
準備なんて出来てないけど、でも。
この人の言葉を信じたいんだ。
蕩ける程に甘く贅沢な時間は、まだ始まったばかりだった_______
_fin_
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みかん(プロフ) - うわああさすがかっぱの子さん!!ワンピース小説大好きです...!!是非またワンピースの新作書いてください!待っていますー! (2019年1月5日 21時) (レス) id: 3dab1a0015 (このIDを非表示/違反報告)
rilu - あっ…神だ。(確信) (2018年12月31日 14時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2018年12月30日 15時