碧棺左馬刻(1) ページ18
side貴方
電車が遅延していて待ち合わせから10分遅れ。
おおう、怒ってる。めちゃくちゃ怒ってる。
周りにガン飛ばしながら見るからにイライラ、黒のスウェード生地のマフラーに口元まで顔を覆う彼。
そろぉと近寄って行くとこっちに気付いた彼はヅカヅカ歩み寄ってきて罵声を浴びせてきた。
「遅ェよボケ‼だから車で行った方が早ェっつっただろ‼」
「ごめんごめん。だって左馬刻の車で行くと目立つしさ」
「このクソ寒ィ中俺様を待たせやがって何様だてめぇ」
「いだだだだ！だからごめんって…！」
ぐわし、と掴まれた頭。
片手で握り潰されそうだから怖い。
ギブギブと腕を叩くとようやく離してくれた彼は盛大に舌打ちし、それでも手を繋いで歩いてくれる。
嫌だ嫌だ言いながら待ち合わせも、今から行くイルミネーションも結局は付き合ってくれる彼。
ずっと文句を言いながらでも歩幅を合わせて歩いてくれるし、こういう所が凄く好きで自然と笑みがこぼれた。
「おい何笑ってやがる」
「ふふふ、内緒」
「あ"？遅れてきた癖に隠し事まですんのかてめぇ」
「痛い痛い痛い指に力入れないで言うから！」
「随分上からだな言わせて下さいだろ」
「どっちが上からだ‼」
全くもう。
早く言えと突き刺さる視線にまた笑みがこぼれそうになったのをなんとか堪え、今度は私から優しく(ここ重要)手を握り返して言った。
「左馬刻の事大好きだなーって思ってたの」
「…何だんな事か」
「そんな事とは何よ。ちょっと照れてる癖に」
「照れてねぇ」
「嘘つき」
だってこっち向かなくなったもん。
それに首まで真っ赤っか。
可愛いなぁ、きゅんてきちゃう。
「というか左馬刻の手凄い冷たいね」
「それが遅れて来た奴の言う台詞かおい」
「ごめんなさい」
「…まぁ、後で存分にあっためて貰うからな。身体で」
「え」
ニヤリと笑う彼に嫌な汗がつぅ、と伝う。
咄嗟に離そうとした手は見透かしていたように強く握られ、また引き寄せられた。
「寝れねェ覚悟しとけよ」
耳元で囁かれた言葉。
寒い今とは違い、この日の夜はめちゃくちゃ暖かかったです。
＿fin＿
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みかん(プロフ) - うわああさすがかっぱの子さん！！ワンピース小説大好きです...！！是非またワンピースの新作書いてください！待っていますー！ (2019年1月5日 21時) (
レス) id: 3dab1a0015 (このIDを非表示/違反報告)
rilu - あっ…神だ。（確信） (2018年12月31日 14時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かっぱの子
| 作成日時：2018年12月30日 15時
