ジン(2) ページ11
side貴方
夜、寝る前に来た一件の通知。
『今から行く』
たったそれだけの素っ気ないメールにも浮き立つ心。
羽織りを着て外に出ると冷たい風が頰を掠めるも、今から彼に会えるんだと思うとそんな寒さ気にならなかった。
しばらく待ってると家の前に止まった黒のポルシェ。
バンッと大きな音を立てて助手席から降りてきた彼に『お疲れ様』と口を開くこうとする前に引き寄せられた体がすっぽりと収まる。
「…なんで外で待ってた」
「え?あ、つ、つい嬉しくて…」
「……風邪引くだろ」
「ごめんなさい…」
心配掛けてしまったかな、としゅんと沈む。
そんな俯く私に彼は両頬を包み冷えた所を温めてくれた。
嬉しくてふにゃ、と表情を緩めると微笑み返してくれる彼。
「遅くなって悪かった」
「ううん。来てくれてありがとう」
今日はクリスマス。
そんなのに全く興味のなさそうな彼が、私が寂しがってると思ってこうやって会いに来てくれただけで十分だ。
でもせめてもう少しだけ、と体に寄り添う。
すると突然の浮遊感が。
「え?ジ、ジン?」
「…まさかこれだけで終わりだと思ったのか?」
「で、でも明日もお仕事は…」
「……みなまで言わねぇと理解出来ない頭、少しは治せ」
何故か物凄く馬鹿にされたため息を吐かれました。
ポルシェに戻り今度は後部座席のドアを開けると私と一緒に乗り込む。
一緒にいたウォッカさんにこんばんはと挨拶したら元気よく彼も返してくれた。
そして発進する車。
「どこ行くの?」
窓から流れていく家のイルミを眺めながら少し高揚する心で尋ねれば撫でられた頭。
その顔があまりにも優しくてドキッと胸が高鳴る。
「…着いてからの楽しみだ」
「えー…」
「好きなんだろ?女はそういうサプライズってヤツが」
「!…ふふ、うん!」
あのジンが色々考えてくれてる。
それだけで凄く嬉しくて私は満面の笑みで頷いた。
もうすぐ終わるクリスマス。
でも私のワクワクは、収まる気配はなかった____
_fin_
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みかん(プロフ) - うわああさすがかっぱの子さん!!ワンピース小説大好きです...!!是非またワンピースの新作書いてください!待っていますー! (2019年1月5日 21時) (レス) id: 3dab1a0015 (このIDを非表示/違反報告)
rilu - あっ…神だ。(確信) (2018年12月31日 14時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2018年12月30日 15時