検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:44,216 hit

ページ40

.

ぼんやり考えていると、背中に重みが掛かる。
こんな事をするのは海人くらいだからと、押し返すように反った。


「ほんとつまんなーい」
「重いんですけど」
「そんな事ないよ。俺軽いもん」
「何言ってんの?」
「真顔やめて!」
「ふふ。冗談だって」


おしくらまんじゅうのような体勢になりながら、軽口を叩き合う。
海人との穏やかなこの関係性がひたすらに心地良かった。



ふ、と小さな笑い声が漏れたのを聞き逃さなかった。
海人と背中合わせになりながら声のした方を見やると、紫耀の口元が緩んでいた。


優しく笑う紫耀を目の当たりにして、瞬間的に動けなくなる。
この人はこんな顔で笑うような人だったかと。


「ほんと仲良いな」
「羨ましいでしょ」
「・・・いや」
「今、微妙に間があったからね?」
「幼なじみって何処もそんな感じなの?」
「あ、無視した!えー?分かんないけどそれぞれなんじゃない?やっぱり」
「・・・そうだよな」


呆気に取られたままの私の耳に、二人の会話がすり抜けていく。

急に喋らなくなった私に疑問を持ったのか、海人に「どうしたの?」と顔を覗き込まれた。
そこでようやく意識が浮上したかのように、全身が動くようになった気がした。


「ううん。何でもない」


ちょっと目眩がしただけ、と適当な嘘を並べた。

.

△→←8.泡沫



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (88 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
223人がお気に入り
設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かる | 作成日時:2020年7月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。