検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:44,223 hit

ページ35

*****

あれから数日が経った。
何をするにも集中力が持続せず、数分としない内に手が止まってしまう日ばかりが流れていった。
それでも仕事はこなさなければならない訳であり、今日もまた無視質なパソコンの画面と向かい合っていた。


「ねえ。大丈夫?」


あまりに私の手が動いていなかったのか、友人が訝しげな視線を送ってくる。


「あ、うん。大丈夫」
「あんた最近変だよ。何かあった?」


観察眼が鋭いとはこの事を言うのだろうか。それとも私が分かりやすいのだろうか。

あったといえば心当たりがあり過ぎる程にあったが、職場で気軽に話せる内容でもないし、誰かに言う事もこの先ないようにも思う。


「何もないよ」


普段通りに答えられただろうか。
ここ最近は、誰かと対話をする際にいつも通りにと考え過ぎるからだろうか。上手く会話のキャッチボールが続かない気がしていた。

眉をひそめた友人はもしかして、と声のトーンを数段落として言った。


「永瀬くんと喧嘩でもした?」
「・・・何で?」
「高校の同級生だったんでしょ?絶対何かあるって専らの噂だよあんたたち」


そんな事になっていたのか。
会社で廉と関わる事はほとんどない為に油断していた。
きっと廉が話したのだろう。
噂というものは尾ひれががついて広がるものだ。

みんな噂話が好きだな、と他人事のように考えていると、肩に手を置かれ


「相談くらいは乗るからさ」


とそれきり友人は仕事に戻っていった。


あの日から廉とは話をするどころか目も合っていない。

廉の座るデスクの方へと目を向ける。
かなり距離がある為、彼の後ろ姿が小さく見えただけだった。


*****

△→←△



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (88 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
223人がお気に入り
設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かる | 作成日時:2020年7月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。