addiction (ページ26)

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「・・・だから、廉とは付き合えなかった」

結局言葉になったものは二言だけだったけれど、私は大きく息を吐いた。
ぽつぽつと言葉を綴る私の話を聞く廉は、真剣な表情だった。
少し間を置いてから廉は静かに言った。

「俺を傷つけるから、別れたん？」

「うん」と言った声はほとんど音にならなかった。代わりに小さく頷いた。
廉は一つ息をつくと、何か言いたそうに口を開けたが唸るように眉を顰めた。

「あいつは？前に公園で一緒におった奴」
「何でここで紫耀さんが出てくるの？」
「ええから」

ぼんやりと紫耀の顔が浮かんだ。
彼の事が好きかと問われればそれはきっと否だ。
でも紫耀のあの目が気になるのは事実だし、もっと知りたいと思ってしまう。

「・・・分かんない」

そう曖昧に答える私は狡いのだろうか。
傍から見れば逃げているようにしか見えないのではないか。

俺が偉そうに言える立場でもないけどさ、とストローでグラスを掻き回しながら廉は続けた。

「あいつはやめといた方がええんとちゃう？」

心配の意が滲んだ廉の声に、何故だか無性に腹が立った。
何も知らないのに、どうして分かったような事を言うのだろう。

「何で？」
「なんでって。見るからに遊んでそうじゃん」
「そうだね。遊んでるんじゃない？」
「・・・それにこの前見たんよ。女の人と歩いてるとこ」
「・・・そう」
「そうって。何とも思わんの？」
「別に」
「あのなあ」
「私が誰と居ようが廉には関係ないでしょ」

「ある。俺まだお前のこと––––––––––好きやから」

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