addiction (ページ24)

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人を好きになれない。

廉と初めて会ったのは高校生の時だった。
同じクラスだった廉は誰にでも気さくに話し掛けてくれる人で、仲が良くなるのにも大して時間は掛からなかった。

よく二人で遊びに出掛けた。
何度目かの誘いに足を運んだ時、廉に「好きだ」と言われた。

最初にその言葉を聞いた時は耳を疑った。
そして勢いのまま断ってしまった。
その後、何度も何度も好きだとアタックされ、その都度断っていたものの、ついに根負けした私は彼と恋人になった。

廉のはにかむようなあの笑顔が、よく晴れた空の下で輝いていた。

廉がくれる愛情や優しさは、とても暖かかった。
でも、彼からその暖かいものを受け取る度に、何も返せない自分に憤りを覚えた。
廉の幸せそうな笑顔を見る度に罪悪感が募っていった。

自覚したのは中学生くらいだったか。
周りが誰の事が好きで、誰と誰が付き合っているだとか、そんな会話ばかりするような年頃。

「Aは好きな人いないの？」
「彼氏いないの？」

呪いの言葉のようだった。
相手からすれば何気ないこの言葉たちは、私の心臓を抉って見えない鎖で強く、強く縛りつけた。

誰も特別だと想えない。
誰も好きになる事ができない。
そんな自分が苦しかった。

誰かを想って笑顔になったり涙を流す友人がいつも羨ましかった。
特別って何？
どうすればその感情を手に入れられるのだろう。

呪いのような言葉は私から次第に気力を奪っていった。
最初こそは反抗するかのように必死に誰かを好きになろうとした。
私を好きだと言ってくれた人に応えようとした。

勿論、廉の事も。

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