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「あん時は何も聞けんかったけど。今ならもういいんとちゃうかなって」
「・・・聞いて、どうするの?」
「Aの気持ちが知りたい」
「・・・・・・」
「何を考えてるのか教えてくれへん?それもだめ?」
どう説明すればいいのだろう。
あの時は何も聞かれなかった事に疑問を覚えたけれど、別れを切り出された直後に聞ける訳がないだろう。
廉に何も言われなかった事に安堵し、何も考えなかったのだ。
本当に馬鹿だ。
嫌になる。
自分の保身にばかり走ってしまう情けなさに。
廉を傷つけたのは他でもない私なのに。
時間が進むにつれて呼吸も浅くなっていった。
嫌な汗が背中を伝っていく。
ごくりと喉を鳴らして、握りしめていた拳の力が強まる。
本当の事を話して納得して貰えるだろうか。
ここでまた嘘を重ねてもどうしようもない事は自分が一番よく分かっている。
下手な言い訳をするより余程いい。
怖い。
幻滅されるのではないか。
そんな不安が胸をよぎった。
「私、人を好きになれないの」
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作者名:かる | 作成日時:2020年7月29日 0時