4.予期せぬ来訪者 ページ18
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週末のどちらかの日には紫耀の写真撮影という名の、散策のようなものに同行するのが日課となっていた。
今日は二人で大きな公園へと足を運んでいる。
天気は曇り。
じめじめと肌に湿気が纏わり付いて気持ちが悪い。
「なんかあった?」
「へ?」
「いつもに増して元気なさそう」
「・・・私ってそんなに元気なさそうに見えます?」
苦虫を噛み潰したように問う私に、紫耀はふはと笑いを零した。
「・・・・・・昔付き合ってた人と会ったんです」
『久しぶり。元気にしとった?』
あれから注目の的である廉が、隅のデスクでコソコソ隠れるように仕事をしている私の元へ颯爽と歩いて来た。
職場で話し掛けてくるとは思ってもいなかったために、またペットボトルを落とし掛けた。
廉曰く、東京の大学を卒業した後は大阪で就職をしたらしい。
そういえばうちの会社、大阪に支店あったなと今更ながらに思い出した。
基本的に転勤の希望は通るため、功績も兼ねてこちらに異動してきたという。
つくづく自由な会社だな、と思う。
まあそういう所が良くて入ったのだけれど。
『はー!イケメンな上に仕事も出来るなんて!』
と女子社員から悲鳴のようなものが上がる。
益々、廉の評判は右肩上がりの一途を辿っていった。
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作者名:かる | 作成日時:2020年7月29日 0時